小池都知事の会見後、都内のスーパーからは食料品が消えた……(写真:アフロ) 画像を見る

日本中で止まらぬ新型コロナウイルスの感染拡大。小池百合子東京都知事は3月25日に緊急会見を行い、“ロックダウン(都市封鎖)”を行う可能性も示唆するなど事態はますます深刻化するいっぽう。そして、首都封鎖は目前まで迫っているという。

 

「3月の3連休から感染者が急増しており、東京では23日の週だけで200名以上もの患者が増えました。こうした事態を受け、東京都と官邸の間ではロックダウン実施が積極的に検討されているそうです。年度末の終わりを待って、4月上旬から5日~最大3週間にかけて行う可能性があるといわれています」(全国紙・社会部記者)

 


【図解】世界各国のロックダウン事情

 

安倍首相も景気の悪化を懸念しているというが、果たして日本では首都封鎖により、どのような影響があるのだろうか? 各分野の専門家に聞いた――。まず関西大学特別任命教授の河田惠昭さんは、

 

「東京では1日に食料品を2万トン消費しています。万が一何らかの支障が生じ、物流が止まってしまうと、店頭に商品が並ばなくなってしまいます。食料品を作るだけではなく、物流を支える仕組みやマンパワーを維持することに細心の注意を払う必要があると思います」

 

経済評論家・加谷珪一氏は『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)で、北関東からの野菜の入荷がストップし、店頭から品物がなくなる可能性があるとも指摘している。3月25日夜に小池都知事が週末の外出を自粛するよう求めた直後、東京都内の一部のスーパーで即座に米が売り切れてしまったことは記憶に新しい。

 

「3月28~29日の週末より前に、スーパーの棚から肉類もなくなってしまいましたよね。パニックによって加速度的に“品不足”が生じてしまう恐れはあります」

 

そう語る日本マネジメント総合研究所理事長の戸村智憲さんと同じように、今回取材した専門家の多くが“パニックによる在庫不足”を懸念していた。それを未然に防ぐためには小池都知事が都民に対して丁寧な説明を心がける必要があるという。作家で、現在は大阪府・市特別顧問も務めている元東京都知事の猪瀬直樹氏は、

 

「吉村洋文大阪府知事や鈴木直道北海道知事に比べて、小池都知事の対応は遅かったと言わざるをえませんでした。また、SNSなども駆使し、もっと“自分の言葉”で、現在の東京都が直面している危機について訴えるべきだと思います。そうすれば、なぜ外出を自粛すべきなのか、買い占めの必要がないのか、などを都民に理解してもらえると思います。お役所言葉や聞きなれないカタカナ文字では、人々の不安も増すばかりです」

 

さらに関西大学名誉教授の宮本勝浩さんは“日本経済への打撃”について語る。

 

「日本では法律上、フランスなどの諸外国のように警察官が取り締まったり、罰則を与えたりすることはできません。しかし外出自粛の要請や、イベント休止の指示が長期間にわたると、小売業・飲食業・観光業などは、かなりの悪影響を受けることになります。たとえば外出の機会が激減するわけですから、外食の機会も減り、飲食店の売り上げも落ち込みます。1週間ほどであれば耐えることができても、個人で経営する店や中規模の店舗であれば、倒産することもありえます」

 

野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト・木内登英氏は3月26日に発表したレポートで、経済的打撃を試算している。

 

《仮に首都東京のロックダウンが1か月実施される場合、東京都の消費が55.5%減少するとすれば、それは日本全体の個人消費を2.49兆円減少させる。(中略)1か月間のロックダウンであっても、それによって失われる需要は、東京五輪延期が2020年GDPに与える影響を上回る計算だ》

 

「女性自身」2020年4月14日号 掲載

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