一般社団法人ペットフード協会による2019年の調査では、ネコの平均寿命は15.03才(イヌは14.44才)。ちなみに、ギネス世界記録認定の世界最長寿ネコは、アメリカのクリーム・パフちゃん(享年38才と3日)だ。「この30年で、ネコの寿命は2倍に延びた」という説もある。
平均寿命を過ぎ、20才が見えてきたら「アラウンド二十歳(アラハタ)」。この企画では、アラハタネコの飼い主に取材し、その健康長寿の秘けつに迫りたい。
■小鳥屋さんで拾ったネコが20才の長寿に
今回の主役は、こみみちゃん。プロフィールは以下のとおりだ。
名前:こみみ
性別:メス
出身:静岡県
出会い:小鳥屋さんの軒先の「もらってくださいケージ」
享年:推定19~20才
死因:老衰と腎臓疾患
飼い主は美術家で、武蔵野美術大学造形学部油絵学科教授の諏訪敦(すわ・あつし)さん。出会いは1997年にさかのぼり、こみみちゃんは諏訪さん宅に引き取られてから19年と半年以上も暮らしたことになる。長生きの秘けつはどこにあるのだろうか。
「食事担当の妻は、塩分と給餌の時間、ペースにかなり気をつけていたようです。浄水器でろ過した水を新鮮に保つようにし、高齢期になってからは、獣医推奨の腎臓・健康維持、関節ケア用のフードにしました。でも、ときに刺身なども与えていたのは、食事自体の楽しみも大切に考えていたためです」
やはり、秘訣は食事である。ネコは体内で水を有効活用し、腎臓で濃縮した尿を排泄するため、腎臓に負担がかかりやすく、高齢になると腎臓病を発症しやすい。高齢期からは、高齢ネコ用に作られたフードに切り替えるのが必須だ。また、食いつきのよいフードに慣れていると、塩け・味けのないケアフードを食べようとしないこともあるため、若く健康なころから適切な食事を心がけることが重要でもある。