71年1月、岸信介元首相、笹川良一氏と並ぶ舞踊団の少女たちにお声かけする上皇ご夫妻 画像を見る

韓国の民族衣装を着た少女たちへ、にこやかにほほ笑まれる上皇さま美智子さま――。

 

1971年1月8日に撮影された写真だが、当時の新聞記事はこの日の様子を次のように伝えている。

 

《皇太子ご夫妻は、秩父宮妃殿下とご一緒に、八日夜、東京・神田の共立講堂で開かれている韓国の「リトル・エンジェルス」東京公演をご覧になった。(中略)華麗な舞踊に、ご夫妻らは、盛んに拍手をおくられ、約二時間にわたって熱心に、ご覧になった》(『毎日新聞』1971年1月9日付朝刊)

 

だが実は、韓国の小中学生が伝統的な韓国舞踊をステージで繰り広げるリトル・エンジェルスは、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と密接な関わりを持つ舞踊団なのだという。長年統一教会の問題を取材してきたジャーナリストの有田芳生さんは、舞踊団の正体についてこう語る。

 

「リトル・エンジェルスは、統一教会の創設者である文鮮明氏が提唱し、1962年5月に設立された舞踊団です。『平和の天使』と標榜して、現在も活動を続けています。上皇ご夫妻や宮内庁は、リトル・エンジェルスがどういった団体なのか知らなかったはずです」

 

51年前に、美智子さまへ“魔手”を伸ばしていた統一教会――。

 

本誌が発掘した公演当日の写真には、安倍晋三元首相の祖父である岸信介元首相(1896年~1987年)や、“日本の黒幕”などと昭和史に名を残す笹川良一・元日本船舶振興会会長(1899年~1995年)の姿がある。岸氏と笹川氏は、文鮮明氏と親交があり、統一教会の日本での活動を支援してきたとされる。

 

「1954年に発足した統一教会は、共産圏と対峙していた西側諸国の保守派と協力関係を築き上げて勢力を拡大。その過程で文氏と笹川氏は接点を持ったといわれています。

 

その象徴が、1968年に日本と韓国で発足した政治団体『国際勝共連合』です。初代会長には、統一教会日本法人の会長だった久保木修己氏が就いています。この勝共連合の名誉会長を1972年まで務めたのが笹川氏でした。

 

笹川氏と岸氏は、ともにA級戦犯容疑者として収監された巣鴨プリズンで親交を深めました。1957年に首相となった岸氏と統一教会の関係を笹川氏が取り持っていたのです」(全国紙政治部デスク)

 

岸氏が作り上げた自民党と統一教会の蜜月の関係は、半世紀後の現在、孫である安倍元首相の暗殺事件によって再び国民の関心を集めている。

 

清濁併せ呑む政治手法から“昭和の妖怪”というあだ名で恐れられた岸氏に仲介させて、国民的な人気があった美智子さまへ統一教会が“魔手”を伸ばしたのは、いったいなぜなのか――。

 

次ページ >各国のVIPとの関係を誇示して…

【関連画像】

関連カテゴリー: