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《決算剰余金拡大、増税延期を検討》(4月8日、共同通信)

 

自民党内で防衛増税を回避しようという動きが活発になっているという。政治部記者はこう語る。

 

「敵基地攻撃能力の保有などのため、岸田首相は防衛費を対GDP比2%に引き上げる方針を決めました。現行の5年で27兆4000億円(2019年~)の防衛費が、43兆円(2023年~)に増額される予定です。

 

政府は大部分を“余ったお金”の活用や歳出改革で賄うとしていますが、2027年以降から毎年不足することになる1兆円あまりのお金は2024年以降の増税で賄う予定です。しかし、選挙への影響などの懸念もあり、自民党内で防衛増税に反発する声が出ているのです」

 

法人税の増税、復興特別所得税の実質的な転用、たばこ税引き上げが予定されているが、自民党内の反対派は冒頭の報道のように「決算剰余金」を拡大すれば増税を延期できると主張している。経済産業省の元官僚の古賀茂明さんは決算剰余金について、こう説明する。

 

「決算剰余金とは、予算として計上したものの使われずに余ったお金のことです。半分が国債の償還、つまり国の借金返済にあてられ、残り半分が補正予算の財源にあてられてきました。これが、防衛費に回されることになるのです」

 

しかし増税を回避できるほど、剰余金は出るものなのだろうか? 第一生命経済研究所の主任エコノミストの星野卓也さんは解説する。

 

「災害などの不測の事態に対応するため、平時の際には年間5000億円ほどを、使い道を決めていない予備費として計上してきました。しかし、近年、コロナ対策費や物価高騰の対策費、ウクライナ対策費などの理由で5兆円規模と巨額の予備費が計上されています。2020年度、2021年度はほぼ使い切っていますが、2022年度は約3兆8000億円が余っています」

 

自民党内の増税反対派が注目しているのがこのお金だ。ここから国債の発行を取りやめるのに使われた残りが決算剰余金に計上されることになっているのだが、取りやめる額を少なくすることで、剰余金の額を増やせるという理屈だ。前出の古賀さんは“予備費の乱用”を危惧する。

 

「とても使い切れる額ではない過剰な予備費を計上して意図的に余らせ、そこから防衛費に回そうとするのではないか。一方で、子育て支援や介護、年金などの財源が枯渇し、その予算が減らされる可能性があります」

 

実際、2022年度に約3兆8千億円ものお金を余らせたにもかかわらず、2023年度も約5兆円という巨額の予備費が計上された。予備費はもとをただせば私たちの血税。少子化対策や子育て支援などの使い方もできる。また、国債も“未来の税金”だ。これを転用しつつ、「増税回避」とは噴飯ものだ。

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