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毎週末、多くの人で賑わう東京・新宿。しかし、訪れた人の“嘆き”が最近話題を呼んだ。

 

4月上旬、Xであるユーザーが、《新宿にいるが、どうでもいいチェーンの喫茶店にまで行列ができているのは街としてミスっているのではないか》と投稿。すると、同様の思いを抱いていた人は多かったようで1.1万以上の“いいね”がつくなど、大きな反響が寄せられることとなった。

 

《新宿あるあるですね。ドトール行列は草ですよ》
《別にコーヒーが飲みたい訳じゃなく座って一息つける場所が無いから喫茶店入るしかないんよね 明らかに昔より座れる場所が無くなっていってる》

 

また《これね、梅田とかも同じ課題抱えてますね。来街者数に対してカフェの供給が追いついてない》のように、他の都市でも同じ状況が頻発していることを指摘する声も少なくなかった。

 

新宿や渋谷といった大都市には、大手チェーンをはじめ喫茶店が何店舗も展開されているが、このGWを始め、土日祝日にどこも満席で入れず、行列をなしている場面に遭遇したことがある人も多いのではないだろうか

 

なぜ休日の大都市はここまで人々が溢れてしまっているのか。そこで、チェーンストア研究家兼ライターの谷頭和希氏に話を聞いた。

 

谷頭氏は冒頭で紹介した投稿を引用する形で《冒頭の投稿を引用する形で《この問題ずっと考えてて、渋谷も17軒スタバがあるのに、週末はどこも満員。 明らかに、都市の中で滞留できる空間が減っていて、その皺寄せがカフェに来てる》(編集部注:現在は18軒)と指摘していたように、まず大きな理由として各地で急速に進む開発をあげる。

 

「再開発が進んだことによって、渋谷は全体的に高級化しています。良くも悪くも、お金を使う場所ばかりが増えているわけです。その結果、無料であったり、あるいは安い値段で居座れる場所として、カフェ以外の選択肢がなかなかなくなってしまった、ということがあると思います。僕は若い人が1000円程度でダラダラすることを『せんだら』と呼んでいますが、こうした若者の『せんだら』需要を渋谷は満たせなくなっていると思います。

 

実は、渋谷自体の歴史を見ると、街でぶらぶらしたり、街に居座ったりする人々が多くいた歴史があるんです。『せんだら』需要に応えてきた街だった、ということですね。例えば、渋谷では1970〜1980年代ぐらいに、旧セゾングループ時代の西武パルコが行っていた開発を例にあげましょう。この開発では、駅からパルコに行くまでの街全体をディズニーランドのように西洋風に演出して、楽しく歩ける街を作ろうとした。それによって、渋谷は町をブラブラして、路上にいることが楽しいと感じる空間になっていました」

 

90年代には「ジベタリアン」という言葉が流行するなど、路上にたむろする若者が問題視される時期もあったが、数々の事件によって“都市への滞留”を淘汰する流れに社会は向かっていく。

 

「95年のオウム真理教事件のころから、どんどん町が浄化されていく流れが生まれてきました。それに拍車をかけたのが、2001年に大阪で起こった池田小事件でしょう。治安維持の観点から、街中に監視カメラなどが増えてくるようになります。行政側からすれば当然の政策ではありますが、街に人々がたむろする場所を無くすとともに、トイレなども減っていきました。こうした流れの中で、街中でうろうろしたり、滞留するという行為そのものが難しくなってきました」

 

こうした再開発の流れによって、街に滞留するにも“コスト”がかかるように。その帰結として、各都市で見られるカフェの大混雑があると、谷頭氏はいう。

 

「いわゆる『街の高級化』ともいわれる再開発手法を『ジェントリフィケーショ』とも呼びます。ある程度、街自体を富裕層向けにして、安全な空間を作り、そこに入るためにはある程度のお金が必要になるというものですね。まさに、こうしたジェントリフィケーション的な開発が渋谷では行われていると考えられます。その結果、若者が無料や限りなく低料金で町にいることがなかなか難しくなってしまった。そうして、滞留できる場所の選択肢として、比較的安価なカフェがあり、混雑しているのではないか」

 

こうした流れを受けてかは定かではないが、実際に都市部のカフェの店舗数は増えているという。現在の渋谷周辺には『スターバックス』が18店舗も存在している。しかし、谷頭氏はそれでも「カフェの需要は多すぎる」とした上で、こうした都市開発の流れに懸念を唱える。

 

「街に関係するなるべく多くの人たちが、幸せな気持ちで空間を使えることが1番いいと思っています。だから、セキュリティー的にも若者をたむろさせないようにすることは、ファミリー層などにとっては大事なこと。一方、街から滞留できる場所を排除することで、居場所がなくなってしまい、結果不幸になってしまう人もいる。そう考えると、過度に居場所を減少させる流れは、やはりよくないと思います。

 

セキュリティ面を考慮しつつ、なるべく多くの人が滞留できる場所を作るバランスを、もっと考えるべきではないでしょうか。一つ明確なのは、今の渋谷の状態がどこか『いびつ』であることは間違いないということ。この状況は見直すべきだろうと思います」

出典元:

WEB女性自身

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