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危険な暑さが続くなか、熱中症予防として、こまめに水分補給をしている人は多いはず。ところが飲み物だけで水分を補うと思わぬ落とし穴がある。

 

「熱中症になる人のなかには、適度に水を飲んでいるから大丈夫と思っていた人が少なくありません。体重50キロの女性が必要な水分量は1日あたり2.2リットルほど。500mlのペットボトル4本以上の水分を日々補うのはかなり大変です。

 

飲み物だけで水分補給しているつもりでも、熱中症の手前の脱水を起こしていることもあるのです」

 

そう語るのは、熱中症予防に詳しい済生会横浜市東部病院患者支援センター長の谷口英喜先生。では、どんな対策をとるべきなのだろうか。

 

「すべてを飲み物からとろうとせずに、1日に必要な水分量の半分を食事から摂取することです。たとえば、ご飯(1膳)には90ml、煮物で120ml、汁物で180ml、果物で50mlほどの水分が含まれており、1食あたりの水分含有量はペットボトル1本分ほどになります。しかも食事からとった水分は体内にとどまりやすいのです」

 

1日3度の食事をしっかりとっていれば1.5リットルほどの水分補給ができていることに。無理して飲み物で水分を補わなくてもいいのだ。

 

「ところが夏場は食欲が落ちてしまうため、食事によって補給される水分量がいちじるしく低下します。そこで、これからの季節は汁物を意識的にとることが大切。とくに運動しなくても汗をかく夏季は、朝食から汁物をしっかりとることが重要です。

 

暑い季節は冷たい飲み物が欲しくなりますが、消化・吸収をサポートする胃腸の酵素の働きが低下し、食欲だけでなく水分の吸収力も落ちてしまいます。温かい汁物をとることで酵素の働きを維持できるので食欲増進と水分を効果的に体内に取り入れてくれるのです」

 

■“酸味パワー”で熱中症になりにくい体に

 

どんな汁物がいいのだろうか。

 

「味噌汁は、適度な水分と塩分をとれるだけでなく、発汗で失われたミネラルなどを補給できるため熱中症予防に適しています。

 

とくに、味噌に含まれる乳酸菌は腸の働きを助け、腸内環境を整えてくれます。その結果、発汗や体温をコントロールする自律神経も整い、熱中症になりにくい体にしてくれるのです。また、さまざまな具材を入れられ、一度に豊富な栄養素をとれるのが味噌汁のいいところ。とくに夏場は“酸味パワー”をプラスするのがポイントです」(谷口さん)

 

そこで栄養士で日本フードコーディネーター協会理事の若宮寿子さんに熱中症予防に効果的な「すっぱい汁物」を3品作ってもらった。

 

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