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「温水洗浄便座の普及と定着に伴い、近年は故障を放置し続けたことによる事故が目立っています。無理して使い続けて火災などの事故が起きたケースもあるんです」

 

こう話すのは、製品評価技術基盤機構(NITE)製品安全部門広報担当の岡田有毅さん。同機構は、温水洗浄便座による事故について、注意喚起をおこなっている。

 

NITEによれば、温水洗浄便座の事故は、2023年までの10年間で69件も報告されている。

 

「製造から10年以上経過した製品による事故が約8割を占めていますので『長く使っている便座に起きやすい事故』ともいえるでしょう」

 

いくつかの報告されたケースをみてみよう。

 

【ケース1】

 

2016年6月、使用年数「15年9カ月」の温水洗浄便座から発煙した。便座の中にある内蔵ヒーターに電力を送っている便座コードが切れてしまい、半断線の状態で発熱、発煙したと考えられる。

 

「最近の便座は、コード内蔵型も多くありますが、これも中でコードが折り曲げられますから、半断線する可能性はあるので注意が必要です」(岡田さん)

 

【ケース2】

 

2022年2月、便座から発煙・火災が発生。洗浄ノズルが出たまま戻らない故障状態で、修理をせずに使い続けていた。

 

「洗浄ノズルを動かすモーターの基板上で、異常発熱したと考えられます。基板上で焦げが広がってトラッキング(非導電部に付着した異物などで電気の通り道ができ、異常発熱する)現象が発生し、ショートしたと思われます」

 

【ケース3】

 

2019年3月、80代の女性の報告。異臭がしたため確認してみると、便座が焼損し、周辺を汚損する火災が発生していた。

 

「事故の2~3年前から便座が温まらない、洗浄水が温まらない、自動開閉できないなど不具合が発生していたようです」

 

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