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食品の高騰が続くなか、帝国データバンクは身近な料理で物価を捉える「カレーライス物価指数」を発表しています。原材料費や調理にかかる光熱費の全国平均価格を基に、カレーライス1食分のコストなどを示すものです。

 

9月10日に発表された2024年7月分の「カレーライス物価」は342円でした。2023年8月以降、12カ月連続の300円超で、過去10年の最高値を更新しています。

 

また、2020年平均を100とした「カレーライス物価指数」は124.8となり、前年同月より14.7%上がりました。指数の上昇は14カ月連続ですが、10%以上の上昇幅は過去10年で初めてです。最近の急騰ぶりを反映しているのでしょう。

 

カレーライス物価の中身を見ると、具材が211円、ルーが25円、ご飯が101円、水道光熱費が4円。前年同期と比べると、輸入牛肉やじゃがいもなどの高騰で具材が183円から28円アップ。また、8月以降の米不足の影響でご飯が87円から14円アップしました。

 

日本の食料自給率は38%です(2023年度、農林水産省、カロリーベース)。食品の多くを輸入に頼るため、2022年からの円安などで激しい値上がりが続いています。

 

それでも、ほぼ国内で自給できる米だけは価格が安定していました。ですから、これまでは食品の値上げ対策として「米をたくさん食べよう」とお伝えしてきました。

 

■米価が下がることをJAが懸念。国は天下り先の顔色を……

 

ですが、昨年の猛暑で2023年産の米の収穫量が減少。そのため、2024年産の新米が出回る前の8月、スーパーの棚から米が消えました。

 

やっと出回り始めた2024年産の新米も、スーパーで見るかぎり例年の1.5倍ほど高値の印象です。

 

いっぽう国は、災害などに対応するため「備蓄米」をストックしています。毎年20万tの米を買い上げ、5年保管後は飼料用などとして販売されるので、100万t程度に備蓄されています。

 

今回の米不足を災害級と捉え、備蓄米の一部でも放出してくれれば、私たちはこれほど困らなかったのではないかと思います。

 

なぜ、国が備蓄米を放出しないのか。私は、備蓄米を放出することで、昨今上昇中の米価が下がることをJA(農業協同組合)が懸念しているのだろうと見ています。国は、大きな天下り先であるJAの顔色をうかがっているのではないでしょうか。だとしたら憤りを通り越し、たる思いです。

 

帝国データバンクによると、8月のカレーライス物価は350円を超える見通しです。輸入肉やじゃがいも、玉ねぎも高値なうえ、米の高騰もしばらく続くからです。

 

私たちは旬の安い食材をまとめて買って、さまざまに使い回し、カレーライスなどは安い食材で大量に作って、小分けして冷凍保存するなど、小さな節約を重ねて、家計を守るしかありません。

 

物価高騰時には消費税を一定期間引き下げるなど、生活が本当に楽になる施策を断行できる総理大臣が誕生してほしいものです。

経済ジャーナリスト

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