「最後の喫煙者」という小説も書いた筒井さんは1日に数本だけ煙草を吸う(撮影:小松健一) 画像を見る

【前編】筒井康隆(92)転倒で頸椎損傷し夫婦で老人ホーム入居…お見合い30回で出会った「82歳妻との半生」からつづく

 

サラリーマン生活を経て、商業作家となった筒井康隆さん(92)。光子さん(82)との結婚直後に上京し、小松左京氏と星新一氏などの仲間と切磋琢磨しながら、人気作家になっていった。本人が語る文豪の半生と現在。

 

文学界を勢いよく駆け上がり始めたころ、息子の伸輔さんに恵まれた。光子さんが振り返る。

 

「じつは最初の妊娠のとき、逆子で、臍の緒が首に絡んで死産になってしまったんです。有名な病院で診てもらっていて、まさかそんなことがあるなんて思わなかったもので、すごくショックを受けて……。伸輔のときも逆子だったから、毎日、逆子を直す体位をしていました」(光子さん)

 

死産を乗り越えた先の子供だったため、一層愛おしく感じた。筒井さんは生島氏にわざわざ電話して「なんでこんなにかわいいんだろう」と尋ねると、「そりゃあ、生き物だからね」と答えたという。

 

「よく知っている料理店なんかにね、伸輔を昼間に連れていくんですよ。誰もいない大広間の席に2人でいると、伸輔があちこちのテーブルのつまようじをばら撒いて、困ったんです。そんなのも楽しい思い出ですね」(筒井さん)

 

ヒット作に恵まれ、光子さんの実家が提供してくれた土地に家を建て、家族で神戸市垂水区に転居。東京との2拠点生活も始まった。

 

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