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シングルマザーの方々の大変さをよく耳にします。職場での偏見や差別なども少なくないようですね。なんともかまびすしい世の中だな、と思いますが、それは同様シングルファザーにも向けられています。そういう偏見といいますか色眼鏡で見られるのがいやなので、ちゃんと育ててるぜ〜的なアピールも含め、お弁当の写真なんかをツイッターにアップしてきたのかもしれません。なんに対してのアピール?(笑)

 

とにかくシングルパパになったばかりのころは世間の目が怖かった。「男手一つでちゃんと子供が育てられるのか?」「栄養バランスを考えてあげて〜」「所詮、母親の愛情には及ばない」「息子がぐれるぞ」などのご意見を方々から頂いておりました。ファンの方々に不安を与えてもいけないので、「シングルパパとしてがんばっております〜」とお弁当の写真を日々アップせざるをえなかったのも事実。言い訳?

 

しかし、ひとり親での子育ても3年続くと、もう珍しがられることもなくなりました。「お弁当、おいしそう。辻家の子供になりたい〜」というメッセージが頻繁に届くようになったのです。続けてきたからだと思います。ただでさえも、離婚のショックを抱えていた父子でしたから、周囲の理解を得るためにさらに努力をしなければならなかったのはちょっと辛かったですね。とくに最初の年はきつかった、かな。

 

昨日、息子の部屋で久々昔話に花を咲かせました。彼がこの3年を振り返り「いつもありがとう。ぼくは知っているよ」と言ってくれました。泣きそうになりましたよ。シングルであろうと普通に親なのです。先入観を持たずにお付き合いくださいませ。

 

さて、息子と語り明かした後は、ベトナム屋台の味、サイゴン・フライド・ビーフン(命名、辻)を作って2人でがつがつ食べました。うまいものがつなぐ親子愛ですね。一緒に作ってみましょう。

 

材料2人分:牛ひき肉200g、乾燥ビーフン150g、生もやし100g、きゅうり3分の1本、レタス小の半分程度、ミント適量、コリアンダー適量(ダメな人は生バジルでもOK)、ピーナツ適量、乾燥レモングラス適量、わけぎ2本程度、にんにく2片ほど、オイスターソース大さじ2、ニョクマム(ナンプラー)大さじ2、砂糖大さじ1、ごま油、塩・こしょう適量。

 

まず、ボウルに、乾燥レモングラス少々(生が手に入れば生のほうがベスト。その場合は白い茎のほうをみじん切りにして使用)、にんにく1片はみじん切り、オイスターソース、ニョクマム大さじ2、砂糖、ごま油を加えて混ぜ合わせ、小口切りにしたわけぎ、牛ひき肉を入れ、1時間弱漬け込んでおく(牛肉の薄切りでも可。普通は牛肉の薄切りなんです)。ビーフンを水で30分戻しておく。

 

フライパンにごま油を引き、つぶしたにんにく1片、乾燥レモングラス適量を入れ香りを移し、そこに先の牛ひき肉とわけぎのマリネ、ざく切りのレタス、ビーフンの順で入れ、再度ニョクマム(分量外)、塩・こしょうで味を調えつつ炒める。ハサミでビーフンを食べやすいサイズにカットしたら、これらをお皿に盛る。その上に、もやし、輪切りきゅうり、みじん切りのミントの葉、コリアンダー、軽く炒ってすりつぶしたピーナツをかけ、お好みでニョクマムソース(小口切りの赤唐辛子少々、おろしにんにく少々、砂糖大さじ2を熱湯40mlで溶きニョクマム大さじ2、ライムの搾り汁適量を加えてよく混ぜ合わせたもの)、レモン汁(分量外)をかけて食します(個人的にマヨラーな私はマヨネーズ、さらにラー油などこっそり使います)。

 

ビールに最高に合いますよ。息子とビールで乾杯できる日はいつだろうなぁ。

 

ボナペティ!

 

エッセイで紹介されたレシピは、
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