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ここのところ、陰惨なニュースが多いですね。母親が幼い子供を殺す、というような事件ばっかり。え? また? これは前のとは別なの? って、こういうことが当たり前になるのって異常じゃないですか?

 

実は、こちらフランスでは正直めったに聞きません。在仏15年で、もしかすると一度も聞いたことがないかもしれない。確かに欧州では残忍なテロはありますが、テロはまた別の理由に起因しています。フランスはカトリックの国ですし、良くも悪くも宗教観が欧州のベースにはあり、幼い頃から厳格な道徳教育が施されているのです。母親が赤ん坊を殺すということは神への冒涜をさらに超えて、欧州人には想像もできないことなのでしょう。

 

日本で母親が幼い子や赤ん坊を虐待し殺す事件が頻繁に起こる原因をちょっと真剣に考えてみるべきではないでしょうか? 愛人と結託して殺した、というような凶悪な犯罪の根本に、生物学的な危機が潜んでいるような気さえします。母親であることを放棄したいと思うことはあるでしょうが、お腹を痛めて産んだ幼子を虐待の挙げ句に殺すだなんてとんでもありません。

 

私は男ですが、自分の息子を殺すことなど1ミクロンも想像できない。だからこそ、子供を殺す母親たちの存在に身の毛がよだつのです。なぜ、日本にこれほどこの手のニュースが溢れているのか。さらにはこういうニュースに麻痺しつつありませんか? またか、で終わっているように感じます。徹底的に原因を追究しなければだめです。同じようなことが起きないように、腐り始めた倫理観をただす必要があります。じゃないと、こういう痛ましい事件が繰り返されるでしょう。殺すなら産むな!

 

熱く訴えた後ってなかなか気分変えにくいですが、本日はサルティンボッカを作ります(笑)。イタリア語で「口に飛び込んでくるよ」という意味。それくらい美味いってことです。息子君的には、辻家の焼き豚肉料理と言えば、生姜焼きとサルティンボッカが勢力を二分しているみたいで、どっちがいいか質問すると、1時間くらい悩んでおります(笑)。

 

さて、材料2人分です。軟らかい豚フィレ肉の塊300g、生ハム6枚(スライスした豚肉の枚数分、豚肉1枚あたり生ハム1枚を使います)、オリーブオイル、レモン、マルサラ酒適量(甘めの白ワイン、ポルト酒、貴腐ワイン、などでも代用可。うちは甘い日本酒でもやります)、そして、生のセージの葉6枚(豚肉1枚に1枚がベスト)。

 

豚肉をお好きな大きさにカットし、だいたい、50gくらい6つにカットしたら、1個ずつサランラップで緩やかに覆い、麺棒で叩いて平たく伸ばします。伸ばしたら片面を生ハムで覆い、その中心に生のセージを1枚載せ、この3枚を爪楊枝で留めます。欧州産の生ハムであれば塩分が強いので塩・こしょうする必要ありません。フライパンにオリーブオイルを引いて(バターを使う人もいます)、生ハムとセージを重ねた面から焼きはじめます。

 

生ハムをイタリア人はスパイス代わりによく使います。この裏技は素晴らしいです。香ばしくなるし、塩分もちょうどいいし。生ハムに焼き色がついたら裏返し、ここでマルサラ酒を適量、ドバッと注ぎフランベします。味が染みるだろうな、というくらいでOKです。いちいち細かい量を神経質に量っているとイタリア料理はおいしくならない。振り回しぶっかける感じです。お皿に盛り、レモンを添えて完成。

 

セージなんてこんな時くらいにしか使わないのですが、これが本当に相性抜群。サルティンボッカは牛でも、子牛でも、鶏肉でも可能ですが、辻家は圧倒的に豚のフィレ肉でやりますよ。詳しくはウェブでご確認を。

 

ボナペティ!

 

 

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