フランスは落第が多いのです。うちの子が通う学校では毎年1~2人落第する子が出ます。1学期の面接の折、「このままでは落第しますよ」と担任に宣告された息子。「パパも頑張るから、一緒にやろうよ」と励ましました。反抗期ですからね、やる気を引き出すのもひと苦労。「小さい子らと机を並べて勉強するの、かっこ悪くないか?」このひと言が最後は効いたみたいです。息子は奮起、大好きだったゲームをやめ、机に向かうようになりました。予習という概念のないフランス。まず息子に予習の大切さを教えました。「前もって勉強していれば、授業が今まで以上に身につく。その後、復習すれば完璧だろ?」スポ魂漫画みたいな日々でしたね。勉強を教えてやることが出来ないので、私はひたすら夜食を作り続けることになるのです(笑)。
かくして、その努力が実り、2学期の成績が上がりました。息子が笑顔で戻って来た日のことは忘れられません。「パパ、今日、ピカール先生に呼び出されてね、成績が上がったので3年生に進級出来るって」私がどんなに喜んだかお分かりですね? 2人で抱き合って喜び合ったのでした。息子の通う中学はフランス全土で上から40位。この学校で、みんなについていくことが出来れば、おそらく志望大学に進学することも夢じゃないでしょう。ともかく、私たち親子は落第という崖っぷちから這い上がることが出来たのでした。2学期、彼は学年の真ん中に食い込むことが出来ました。これからの私の仕事は成績が下がらないよう、予習、復習を続けさせることですね。教育パパ? かもしれません。でも、学んだら遊べ、が私の哲学ですから、彼はのびのびと成長を続けています。
さて、今日は英国の家庭料理、ステーキ&エールパイをご指南しましょう。あまりに美味しくて、ほっぺたが落ちちゃうかもしれませんよ。ご用心!
材料3~4人分:牛肉(煮込み用)500g、にんにく1片、玉ねぎ1個半、マッシュルーム6~7個、バター20g、小麦粉大さじ2、ギネスビール500ml(実はエールビールを使うのでエールパイ。でもあまりないのでギネスを代用します)、ウスターソース大さじ2、トマトピューレ大さじ2~3、砂糖大さじ1、ビーフブイヨン1個、乾燥タイム少々、塩・こしょう適量、醤油大さじ2(隠し味)、冷凍パイシート1~2枚、卵1個。
まず、煮込み用鍋にバター10gを溶かし、中火でみじん切りにしたにんにく、千切りにした玉ねぎをじっくり炒めます。よく熱したフライパンで3㎝角くらいに切った牛肉(塩・こしょうをして)を焼き、お肉だけ(フライパンに出た肉汁はグレイビーソース用に残してね)煮込み用鍋に移します。そこにマッシュルームと小麦粉を加え満遍なく炒めたら、ビール、トマトピューレ、ウスターソース、砂糖を加えて煮込みます。2~3時間煮込んでお肉が軟らかくなったら醤油と塩・こしょうで味を調えます。トロッとシチュー状になるまで煮詰め、最後にバター10gを加えてください。出来上がった具を耐熱容器に分け、容器をパイ生地で蓋をし、艶出しにとき卵を刷毛で塗り、180度に予熱したオーブンで20分ほど焼いたらパイの完成です。
グレイビーソースの材料:赤ワイン1カップ。水1/2カップ、バルサミコ酢大さじ1、砂糖大さじ1、醤油大さじ1、ビーフコンソメ1/2個、ローリエの葉1枚。肉汁を残しておいたフライパンに材料を全部加え、フライパンを木べらでよくこそぎ、トロッとするまで煮立てたらバター少々(分量外)を加えて出来上がり。
熱々のステーキ&エールパイにグレイビーソースをかけて召し上がりください。イギリスの大衆パブで大人気のステーキ&エールパイ、通称ミートパイ。英国の庶民の味をお楽しみあれ。
ボナペティ!!
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