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人間は、広い世界のほんの一部で生きている。
全てを知ることはできない。
世界のどこかには、自分の知らない何かを熱狂的に愛してる人がいる。研究する人がいる。
そんな人が集まると、小さなブームになる。
誰かの世界を、少しだけ覗いてみちゃおう。
それが「うさこの覗いた世界」なのだ…!

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動物と触れ合わずに生きてきた人生だった。
金魚をお祭で釣って連れて帰ったはいいものの、3日で世話をしなくなり
母親に任せ切って自分の動物飼育レベルの低さに気付いたのは小学生の頃。
「犬飼いたいな…♪」などというペットへの憧れを捨て去ったわたしは
それ以来積極的に動物と触れ合ったことがない。

 

もちろん会えばかわいくて友達の家のわんこやねこちゃんをモフモフしたりなどするが
正直人間以外の生き物は未知の世界。
中でも、最も未知の生物…それが爬虫類だ!!
人生で爬虫類との記憶なんて旅行先で宿舎に現れたトカゲにビビりまくったくらいしかない。

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果たして、動物初心者のわたしが爬虫類との交友は築けるのか。
難波宮で開かれた爬虫類に触れ合いまくれる“爬虫類喫茶”があると聞いて
大阪・大正駅からバスに乗り込み10分、「爬虫類きっちゃ アゲイン」に降り立った。

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…!!

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か…亀がいるやないかい!!!!
店の外の段階で既に亀やトカゲの楽園が繰り広げられている…!
逃亡防止の柵をのけて、店内へと侵入した。

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…!!!
また亀!!! めっちゃデカい亀!!!
作りものかと思うほど大きな亀が、のそのそと床を這う。
ほ、本物…!!!
気ままに動き回る亀を乗り越え席に座った。

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現れた店長さんはなんと首からヘビをぶらさげていた。
「この中からドリンクを選んでください」と言われても正直それどころじゃない。
それはネックレスじゃないんだぞヘビだぞ!!!????
奥から現れた女性店員さんはノースネイクネックレスかと思いきや
背中に大きなトカゲがしがみついていたことに気付く。

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どうなってるんだ。みんな洋服着てるのにわたしだけ裸みたいなこの状況はなんだ。
わたしがおかしいのか!!!??
ゲシュタルトが崩壊しそうなほど
爬虫類がいて当たり前なセカイ…ここが「爬虫類きっちゃ アゲイン」だ。

 

席の後ろからはカツン!カツン!という音が響く。
なにかと思って後ろを振り返ると、そこにはゲージを叩くトカゲが!!

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あなたでしたか!!!
左右に体を動かすトカゲ。
出たいアピールとしてのこの動きらしいが、ダンスのようでこれを見ているだけで飽きないのに
前後左右、あらゆる方向に爬虫類。どこを見ればいいのか!!?
360度爬虫類に囲まれてしまった!!!!

 

店長さんが一匹のフトアゴヒゲトカゲ(以下、フトアゴちゃん)をわたしの元へ連れてきた。
おとなしいフトアゴちゃんは、わたしのテーブルでちょこんと鎮座。

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あまりにもナチュラルすぎる…!
これまで「爬虫類がカワイイ」と感じたことはなかったが、
店長さんが見せてくれた以前特集されたときの雑誌を「見て見て雑誌載ったの」と言わんばかりに見せつける仕草(見せつけてない)のなんてかわいいことだろう。

 

「さわりますか?」と言ってくれたので、手の上に乗っけてもらった。

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ひんやりした肌の質感。独特のぶつぶつ感。
これが…爬虫類…!
びびりすぎて少しも動けないので、フトアゴちゃんを手の上から移動してもらう。
普段生活をしているなかで交わることも見かけることもない、
全く別の環境下だけど、同じ地球上で生きている生物と触れ合える…
なんて貴重な経験なんだろう…。

 

わたしがトカゲを触ってびびったりヘビを触ってびびったりしているあいだに、
店内にはどんどんお客さんがやってきた。
隣の席には女子2人組。
「爬虫類には今まで接したことがなかったんですけど、
動物全般が好きなので爬虫類も絶対好きだろうと思って来ました」とのこと。
友人は無理やり連れてこられたらしい。
さらに女子2人組の前に男子2人組がやってきた。
「爬虫類が好きなんですよ~。かわいいですよね~!」とひとりの男性が話す。
友人は無理やり連れてこられたらしい。
奥の席にはカップル。
「爬虫類かわいくて好きなので来ました!」と女性は話した。
男性は無理やり連れてこられたらしく、終始びびりまくってヘビをまとった店長さんが近づくだけで絶叫。
女性の爬虫類好きが増えているという噂は耳にしたことがあったが、どうやら本当らしい。
それにしてもひとりが爬虫類好きでひとりは無理やり連れてこられるのが爬虫類喫茶に行くときのマナーなんじゃないかと思うほどの連行率だ。
席が満席のため相席した一人客の男性は、
「両親が好きだったのでその影響で爬虫類好きになりました。くりっとした目がかわいいんです!!」と語った。
そのあとも親子がやってきたり、平日の昼間だというのに店内は大にぎわい。

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何故こういうお店を始めたのか?店長さんに話を聞いてみた
「昔沖縄料理屋だったんですけど料理人が辞めてしまって、場所が空いていたところ気が付けば爬虫類好きのたまり場になっていました。ここを貸してくれる人も爬虫類が好きだったので。それやったらいっそ、爬虫類カフェにしよ、ということで出来たのかこの店です。」
爬虫類好きが高じてこの店が誕生したらしい。
「爬虫類が好きになったのは、近所の爬虫類好きに洗脳されたことがきっかけです。爬虫類にとっての適温を作るために、電気代は月15万もかかります」
中には危険なものもいるため、きちんとした知識がないと飼育は難しい。
こんなにたくさんいても一匹一匹へ愛情が注がれていることは見ていたら動物初心者のわたしでもわかった。
愛に溢れた空間に感化され母性が芽生えたみなさんをご覧ください。

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この光景…ハートフルすぎるだろ!!!!

 

普段接することのない生き物を知る、触れる。
それは地球の広さを知ることだ。
わたしたちが普段生きる世界はほんの一部でしかなく、
地球は思っているより遥かに大きいということを思い知らされた。

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わたしに母性は芽生えませんでしたが。

 

最近アナコンダが仲間入りしたらしいので
ぜひみなさんも爬虫類と触れ合ってみてください。

 

「爬虫類きっちゃ アゲイン」詳しくはこちらから!
http://cafe55again.web.fc2.com/

米原千賀子

ライター兼イラストレーター。へっぽこな見た目とは裏腹にシビれる鋭いツッコミで世の中を分析する。人呼んでうさこ。常に今日の夜ごはんのことを考えている食いしん坊健康オタクな一面も。webマガジンNeoLなどで連載中。

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