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オフグリッド生活2周年を迎えて3年目に突入したことを、前灯でお伝えしました。電力会社に頼らずに電力を完全自給して、とことん電氣と向き合ってきたこの2年間。晴れれば「今日は発電するからどんどん家電を動かしてどんどん働くぞ!」と意気揚々となり、雨が降れば「今日は発電が少ないから、静かに読書や仕事の準備をしよう」と落ち着いて過ごす。そんな晴耕雨読な日々。そして、太陽が空にいるうちにできるかぎりやることを済ませて、発電をしない日没後はバッテリー温存のためになるべく早く寝る。そんな太陽と共にある日々。

 

このように、お日さまに支えられての生活ですので、太陽が大好きになりました!日の出の時間に起きるようになって、日焼け止めなんて塗らなくなって、日傘もささなくなって、しまいにはガスや電氣を使わず太陽光でお料理までするようになって(笑)それほどお日さまラブです!一方で、日没後の暗さの魅力も感じるようになりました。太陽が昇るときに湧きあがる、今日という一日が始まる高揚感と、太陽が沈むときに染み入ってくる、今日という一日が無事に終わる安堵感。両方とも甲乙つけがたい良さがあるんですね。

 

このようなお日様リズムで2年間過ごしてきたら、面白い変化が起こりました。それは、夜に照明をつけることが苦手になったこと。夜は暗いのが自然だということが、意識よりもカラダの方が深く理解したようです。リビングは、全ての照明をつけると眩しくて頭が痛くなってしまうようになったので、半分しか照明をつけなくなりました。ソファーのあるスペースは電氣をつけていません。

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お夕飯を作るときも、キッチンの照明はひとつだけにして、ダウンライトは消しています。手元が若干暗いですが、明るすぎるよりこっちの方がなぜか集中できて、しかも目がラクなんです。

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夜にワンコのお散歩に出かけると、街灯の光の強さに目を開けられなくなって、向こう側から車がやってくるものなら、そのヘッドライトの光に目が焼かれるような感覚も生まれるようになりました。

 

小学校のときの国語の教科書に載っていたもので、主人公の動物たちが人間への不満を言っている物語がありました。人間が山に入るようになって一番困ることが、車のライトが眩しすぎるというもので、月の明かりで十分なんでも見えるのに、なぜ人間はあんな光を使うのだろう?と半ば呆れたように言っている内容でした。たくさんの電氣の中で育ったわたしは、「月明りだけで見えるの?それは本当?それとも物語の世界?」と、幼心に興味とハテナでいっぱいになりました。同時に、自然の中にいる動物たちにとって、車のライトは不自然過ぎる光で、本来夜の明かりとりは月なんだと頭で理解した瞬間でもありました。

 

それから15年ほど経ち、オフグリッドな生き方を選択して電氣をあまり使わない生活になったら、あの物語の動物たちが言っていた意味がわかるようになりました。人間の作り出した光は強すぎること、そして、それは自然に住まうものたちにとっては不快な明るさであること。そして、月は夜道を照らせるほど明るいということ。それは、とある満月の夜に、里山を夫とワンコと一緒に散歩していたときにきづきました。街灯のない草道は、月の明るさで燦然と光輝いていて、月明りがわたしたちの後ろにくっきりと影まで作り出していたのです!「お月さまってこんなに明るいんだね」とお互い驚きながら、夜空に浮かぶ眩しい銀色の球体をずっと眺めていました。

 

街灯によって夜も光を浴びているイチョウの街路樹で、街灯の光に照らされた部分だけ黄色く紅葉していないものを見たことがあります。また、マンションなどの入り口に植えられている植栽も、ライトの近くでは変色しているものをよく見かけます。昼は太陽の光を浴びて、夜も光を浴びるので、昼夜の感覚が分からず自然のリズムが狂って病気になっているわけですね。それは自然の一部である人間にも当てはまるはずです。うつ病や生活習慣病など、ひと昔前まではなかった病が社会問題になっていることは、夜に煌々とした光の中で過ごすようになったからではないでしょうか。

 

夜遅くまで蛍光灯の下で仕事をして終電で帰っていた会社員時代は、お肌がボロボロで、カラダも疲れやすく、いつもイライラしていて、残業代でブランド物のバッグなどを買ってそのストレスを発散していました。グリッドされまくっていたその頃の自分にガッカリしてしまいますが、そういう経験をしたからこそ今の感覚との差が分かるので、それはそれでよしとしましょう。今や20時を過ぎると自然と眠くなって、潔くお布団に入ります。自然のリズムに抗わない、社会が作った時間に無理やり合わせない、きづいたら自ずとこのような過ごし方に着地していました。

 

といっても、この社会で20時に寝る生活は、なかなか難しいものがありますよね。それでも自然のリズムに乗れるオススメの方法があります。それは、電氣をつけずにお風呂に入ることです。

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〝闇風呂〟と勝手に名付けているのですが、これが最高にきもちいいのです!視覚からの情報がほどよく遮られて、目も頭も落ち着きます。お風呂のリラックス効果が倍増して、そのあとぐっすり眠れますよ!最初は脱衣所の電氣だけをつけて、慣れてきたらそれを消して廊下の電氣だけをつけて、というように光源をどんどん自分から離していってみてください。この心地よさを知ってしまうと、もう電氣をつけてお風呂に入れなくなります!そして、この感覚を得ると、今度は闇トイレもやみつきになります(笑)昔の厠は薄暗かったはずです。電氣で照らされながら用を足すことの方がおかしく思えてきたら、もう立派なオフグリッダーです♪

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