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フランスに、本格的ないちごの季節到来です!

マルシェやスーパーには、3月ごろからフランス産のいちごがちらほら顔を出し始めますが、5月に入り、ひときわ目をひく真っ赤なカラーと、あたりに立ち込める甘ずっぱい香りが、行き交う人々の足を引き止めています。

フランスのいちごはギュッと味が濃く、個性豊か。3月から7月にかけて、パリでもいろいろな品種のいちごを食べ比べることができます。

一番人気のいちごは、間違いなくGariguette(ガリゲット)でしょう。小ぶりで細長い形のガリゲットは、ほろっと柔らかく、酸味とともに、野性味ある濃い味と香りが特徴です。Cifrolette(シフロレット)やCharlotte(シャルロット)は、酸味やクセが少なく甘みが強いので、子供たちにも人気。そして、私がいちばん好きなのが、ほかのいちごより少し遅れて登場するMara des bois(マラ・デ・ボワ)。ころんと丸い形で、野いちごにも似た特徴的な甘さがあります。

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左:マルシェに並ぶいちごたち。
右:丸顔のマラ・デ・ボワ(左)と、面長のガリゲット(右)。

フランス語では、いちごのことをfraise(フレーズ)といいます。ラテン語のfragaria「香り」を語源とし、古くはローマ時代から人々に愛されていたようです。といっても、そのころのヨーロッパにはfraise des bois(野いちご)と呼ばれる、とても小ぶりないちごしかありませんでした。18世紀に入ると、チリからフランスに、大きくて淡白な味のいちごが持ち帰られ、野いちごとかけ合わさって、現在の風味豊かな「フレーズ」として広まったようです。

フランス人とっておきのいちごの食べ方がこちら。

【材料と作り方/2人分】
いちご(250g)はよく洗ってヘタを取り、縦半分に切る。サラダボウルに入れ、砂糖(大さじ1)、レモン汁(小さじ1)を振りかけたら、さっくり混ぜて冷蔵庫で30分ほどなじませる。このとき、ミントの葉を加えても。砂糖が溶け、いちごにシロップがよく絡んだら、好みで泡立てた生クリームやバニアラアイスなどを添えていただく。

これが、シンプルながら至福のデザートなのです!

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左:ガリゲットを切り、砂糖とレモン汁をかけ、冷蔵庫でなじませる。
右:フランスでは、クレームフレッシュ(サワークリームの一種)を添えていただくことも多い。

そして、いちごの季節、もうひとつの楽しみは、パリじゅうのパティスリーに並ぶ「フレジエ」です。フレジエとは、一般的にジェノワーズ(共立てでつくるスポンジ生地)、ムースリーヌ(カスタードクリームとバタークリームを合わせたコクのあるクリーム)といちごで構成されたケーキのこと。フランス人はフレジエに目がありません。

パリで暮らし始めて以来、毎年この時期にフレジエを食べ比べてきましたが、私がいちばん好きなのは、老舗「Dalloyau(ダロワイヨ)」のもの。ガリゲットがぜいたくにごろごろと入っているのですが、キルシュのきいたしっとりしたジェノワーズ、バニラ風味のムースリーヌが、酸味の強いガリゲットと最高の相性なのです。

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左:パティスリーデレーヴのフレジエといちごタルト。
右:トラディショナルな味を守りつつ、ポップなデザインのダロワイヨのフレジエ。

2年前に行われたパリのフレジエ・ベストテンでは、このダロワイヨのフレジエが3位に入賞したそう。「僕らのフレジエは昔ながらのレシピに忠実につくっているんだよ」と、お店のお兄さんが自信たっぷりの表情で語ってくれました。

5月のパリ、いちごの赤い誘惑には勝てそうにありません。

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