近頃は女子の趣味も多様化して、今まででは女子がほとんどいなかったような現場でも女子を見かけることが増えた。
今回挑戦したのは「釣り」。
ライトな釣り人からプロまでいる奥が深い世界、釣り人たちは何に惹かれるのか初心者が確かめてきた。

 

 

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間は、広い世界のほんの一部で生きている。

全てを知ることはできない。
世界のどこかには、自分の知らない何かを熱狂的に愛してる人がいる。研究する人がいる。
そんな人が集まると、小さなブームになる。
誰かの世界を、少しだけ覗いてみちゃおう。
それが「うさこの覗いた世界」なのだ……!

 

最近では初心者にやさしく、丁寧にレクチャーしてくれる釣り場も多い。
今回訪れた「南港魚つり園護岸」もそのひとつだ。

 

無料で入れる施設の南港魚つり園護岸。
海上に広がる釣り場では、それぞれ個々で釣りを楽しんでいる。
平日は釣り慣れした人たちが目立つが、無料で入れる気軽さから、休日になると家族客で賑わうようだ。

 

あまりに勝手がわからず、迷い子のようにフラフラ護岸をさまよう。

 


入口にある売店へ入ってみると、スタッフの皆さんが出迎えてくれた。
何も持ってきていなくても、この売り場で釣り具がレンタルできる。

 


借りられる釣り竿は2種類。

 


オキアミと呼ばれる小さなエビのようなものをカゴに入れて上下させることでエサを浮遊させて釣る「サビキ」と先端に生きた虫エサをつけて釣る「胴付き仕掛け」
虫が苦手なわたしは迷わずサビキを選んだ。
エサは別なので「こんな量を使いきれるんだろうか?」と思いながら、オキアミがたっぷり入ったパックも購入。
これですぐにでも釣りができる装備が揃った。

 


陸上でエサの入れ方やリールの巻き方など簡単に教わる。
使いやすい工夫がなされているため、動作は至ってシンプルだ。
ベールと呼ばれるストッパーを上に倒してしゅるしゅる~と糸を垂らし、上下に竿を揺らし、かかったと思ったらベールをセットしてハンドルをくるくる~と回す。
本当にそれだけ。

 

レクチャーを受けたら、いざ海へ旅立つ。
言われた通り、カゴにオキアミ(強烈な海の香り)をたっぷりカゴに入れて、海へ放つ。
カゴからオキアミがなくなったら糸を巻いて、オキアミをセットしてまた海へ放つ。

 


誰もが知っているアジやイワシが釣れるかもと聞いて、今日の夜ご飯は決まりだ!という浮かれた気分だ。

 

……。

…………。

 

気付けばただオキアミが吸い込まれるだけで、2時間が経過した。

 


「もう少し夏になれば、呆れるほど釣れるんですけどね」
嫌というほど釣れますよね」
みんながいろんな形容詞で夏の大漁っぷりを口にする。
ちくしょう……でも5月の海に来てしまったんだから仕方ない。
魚の気配すら感じることすらできないまま、気付けばあれだけあったオキアミを使い果たし、わたしは海の前で立ち尽くしていた。
「時期が悪かった」では済ませられない絶望感が襲う。
「初めての時に釣れないと、釣り嫌いになりますよね」と釣り人のお言葉。
まさに今そうだよ!!!
当然サビキや釣り場が悪いわけではない。相手が生き物である以上、時期や時間などタイミングが全て。
タイミングが悪かったで諦めてしまうしかないのか?
葛藤するわたしに、スタッフさんから提案が。

 

「胴付き仕掛けで釣ってみませんか。」

 

そうだ。釣り竿にはもう1種類ある。しかしひとつの問題があった。
「それはひょっとして虫をエサにする例の釣りでしょうか……?」
「そうです。でも、釣れる可能性は高いと思います!」
先ほど述べた通り、わたしは虫が大嫌いである。
ましてや釣りで使うような、ウニョウニョした虫は見るだけで泣きそう。

 

でも……ここまで来て釣りの楽しさを知らずに帰れない!

 

意を決して青虫を購入して、再び釣り場へ戻った。
人生でお金を出して虫を買う日が来るとは思わなかったです。

 


先端の針を青虫の体に貫くようにしてセットしていく。
これを海底に這わせることでエサだと思わせて魚が針に引っかかると言う戦法だ。

 

先ほどまでのオキアミを消費する悲しい作業とは違い、早々に魚がコンコンと糸を引っ張ったりしている。

 


魚の息吹を感じる!これが釣り……!
あまり早いと、魚が針に辿り着く前かもしれないので、見極めは慎重に。

 

魚が糸から離れられなくなっている!と確信を持った頃、勢いよくリールを回した。

 


アイナメだ~~~~~!!!!!!
小さな一匹だけど、奇跡をを体感したような嬉しさがある。

 


計5匹を釣り上げた頃には、釣り開始から6時間が経過していた。
始めのサビキによる絶望の3時間と、魚と掛け合いを楽しんだ3時間は全く別のものになった。

 

「坊主(釣果がないこと)でもいいんですよ。こうやって、魚とのコミュニケーションを楽しむのが楽しいんです」
釣り人は言う。
わたしは釣りはひたすら待つ作業なのかと思っていたが、楽しんでいる間に時間が経ってしまうものだったのだ。

 


今ではひとりで釣り場に通う女子もいるという。
釣りのよいところは、楽しいだけで終わりにせず生きることとリンクさせられるところ。
わたしは釣った5匹のアイナメの内臓とウロコを取って、素揚げにしていただいた。

 


「釣った段階で、小さな魚のほとんど命を落としてしまいます。せっかくなら、それをありがたく頂いてほしい」とはスタッフさんの言葉。
虫をエサにして魚を釣り、それを人間が食べる。
食物連鎖を目の当たりにする瞬間!
海は命の尊さを教えてくれる場所だった。

 

 

「南港魚つり園護岸」
https://nankou-uotsuri-en.jp/
住所:大阪市住之江区南港南6丁目9番3号
TEL:06-6612-2020
入場無料、釣り竿レンタル:1,800円/1本(仕掛け付/エサ代別)

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