【今週の悩めるマダム】
竹内結子さんの自死に大きなショックを受けました。竹内さんとは同世代で幼い子どもが2人いるので、共通点が多いと勝手に思っています。私自身、いますぐ死にたいというわけではないけど、「死んじゃったら楽かな」と思ってしまうことが最近増えました。この気持ちはどうしたら解消できますか? (埼玉県在住・40代主婦)
このところ、芸能人の自死が続いていますね。死に至る理由はきっとさまざまでしょうが、こうも続いてしまうと、同時代を生きる者として、不安になるのは当然です。ましてや幼いお子さんがいらっしゃる奥様のような方は尚更だと思います。実は、僕も何度か「死にたい」と思ったことがあります。どれもいま思うと、真剣に考えた「死にたい」ではなかったように感じます。実際に死を選ぶ人は「死にたい」気持ちを深く考察されたというよりも、死に招かれた方が多いのではないでしょうか。
「死にたい、死にたい」と言い続けている僕の友人はいま、2人も孫がいるおじいちゃんになって、ぴんぴん、生きています。先日会ったら、「長生きも悪くないな」と言っていました。この友人と同じというわけではないですが、奥様は「生き切る」と思います。そもそもここにお悩みを投稿してくださったということに、生きたいという希望が見えるからです。だから、僕は少し安心して、この先のことを書かせていただきますね。結論から言いますと、「死にたいと思っていい」というのが僕の考えです。その気持ちをもっと誰かに話してもいいし、それを言葉にしてこうやって投稿されてもいいのです。
ただ、「死にたいと言ってもいいから、生きてください」と、いま死にたいと思っている方々へ伝えたいです。僕も離婚直後、「異国の地でどうやって幼い息子を男手一つで育てればいいんだ……」と絶望的になりました。マスコミにもあることないこと書かれ、そういう記事を見た在仏日本人から誹謗中傷まで受けました。さらに、その連中はかつて自分が面倒をみてきたような人たちで、「ああ、死ぬしかないな」と幼い息子の寝顔に向かって言ったことがあります。そういうときは憎しみよりも諦めの方が大きく、いま思えば危険な状態でした。でもそのとき、寝ていた息子の目尻に涙が見えた。一粒の輝く光でした。みんなを許そう。自由気ままに生きてきた自分にも責任がある。でも、この子にはいっさい罪がない。この子を守る存在が必要じゃないのか。もう一人の僕が、僕にそう告げたのです。そして、寝ている息子を抱きしめ、声を殺して泣きしました。そして泣き終わったとき、僕は強く生きようと決意していたのです。
あれから約7年が経ち、在仏生活も18年になります。今年は2カ月のロックダウンをパリで経験し苦しい日々でしたが、僕は「絶対、生き切るぞ」と自分に言い続けてきました。奥様、こうやって投稿してくれてありがとう。それはあなたからの「生存するぞ」という決意だと思いました。人間は死にたいと思っていいのです。辛い世界ですから、当然です。でも、生きてください。共に、生きていきましょう。
【JINSEIの格言】
結論から言いますと、「死にたいと思っていい」というのが僕の考えです。ただ、「死にたいと言ってもいいから、生きてください」と、いま死にたいと思っている方々へ伝えたいです。
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「女性自身」2020年10月27日号 掲載