「朝の六時ぐらいでした。突然警察がドカドカと部屋の中に入って来ました。僕は女の警官に起こされて、その後パッと窓を開けたらフラッシュの嵐…。
警官に窓を『開けるな!』と言われた直後、『2週間分の着替えの用意を急いでしろ』と。もう何が何だかわからないまま、下着類をバッグに詰め込みました。

ただその時は、とりあえず2週間したら元の生活に戻れるだろうと思っていたのですが、釣り竿をもった瞬間に『もう二度と釣りはできないぞ』と警官に言われ、子供ながらにこれはただ事じゃないなと、頭の中がパニックになった記憶があります」

荷物をまとめた利勝さんら姉妹の4人は、玄関横の部屋に集められた。すでにその時点で両親の姿はなかったという。子供たちはまさかそれから約7年間、母親の眞須美被告と会うことができなくなるとは、この時夢にも思わなかった。

「逮捕当日が僕の通う小学校の運動会だったんです。その前日お母さんに“明日の運動会は来てくれるんかな”と聞いたら、『お弁当作って絶対に行ってあげるから』という会話をしたのが、お母さんと最後に交わした言葉でした。それ以来7年間、拘置所に行って初めて面会をするまで直接話をすることはできませんでした」(利勝さん)

逮捕後、4人の子供たちは警察が作ったブルーシートで覆われたトンネルを潜り、1人1人別々の車に乗せられ施設へと送られた。

しかし幸いにも「4人が離れ離れにされることはなく、全員同じ施設だったことが唯一の救いだった」と、利勝さんは話す。

両親が逮捕された時、長女は中学3年生、次女が中学2年生、そしていちばん下の妹・幸子さん(仮名)は、まだ4歳であった。

この日から林家の子供たちの壮絶な日々が始まる――。

続きは明日…4月23日シリーズ人間【林眞須美】和歌山カレー事件・林家の10年は毎日更新

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