オバマ大統領から新駐日大使として指名され、このたび着任が決定したキャロライン・ケネディ(55)。父は暗殺された元大統領ジョン・F・ケネディだ。現在、日本でもっともケネディ家にくわしい研究者である土田宏・城西国際大学教授の解説で、キャロライン・ケネディの素顔に迫ってみよう。

 

【大統領執務室が遊び場?】

「執務室で仕事をするジョンの傍らで、キャロラインとジョンJr.(長男。’99年に飛行機事故で死亡)がはしゃぐ写真が残っています。こんな光景を見せた大統領は彼だけでしょう。ジョンの両親は仲が悪く、こうした団らんに憧れていたのだと思います」(土田教授・以下同)

 

大統領暗殺後、母・ジャクリーンと子どもたちは叔父のロバートのもとにいたが、彼も’68年に暗殺される。そこに手を差し伸べたのが、ギリシャの船舶王、オナシスだった。

 

「ジャクリーンはオナシスと再婚し、キャロラインたちも地中海にあるオナシス所有の島に移住。深窓の令嬢として育てられました。ハーバード大学に進学するまで、カメラにその姿を捉えられたのは、たった1回のはず」

 

‘78年、キャロラインは20歳のとき、叔父のエドワード上院議員一家とともに初来日。広島の原爆記念公園で祈りを捧げ、原爆病院を慰問した際は「思っていた以上のむごさ」と、表情を曇らせた。

 

‘86年、メトロポリタン美術館在職中に出会ったデザイン会社経営者、エドウィン・シュロスバーグ氏と結婚。新婚旅行で再来日したことからも、彼女の親日ぶりがうかがえる。

 

【肩書にある「作家」としてのキャリアは?】

現在、彼女は「弁護士、作家」と紹介されるが、どんな作品を書いているのだろうか?「作家というより、編さん家といったほうが正確でしょう。有名なのは、ケネディ家で愛されてきたというポエムを集めた『家族で大事にしてほしい詩集』『覚えていれば人生が豊かになるクリスマスの詩集』といったもの。前者には松尾芭蕉の俳句『古池や……』の英訳版も紹介されています」

 

彼女が初めて政治の表舞台に立ったのは、5年前の大統領選でのオバマ支持表明だった。このとき50歳。その後、オバマ政権では、ヒラリー・クリントンの国務長官就任で空席になった上院議員選挙に出馬するとみられたが、最初の演説で父のように聴衆を引きつけられず、「やっぱり私はダメ」と途中で断念する一幕も。

 

【なぜ今、彼女が駐日大使に選ばれたのか?】

「オバマ政権誕生の立役者ですから、その功労人事と見るのが自然。彼女の場合、気持ち次第で将来、大統領にもなりうる存在。王室のない米国で『ロイヤルファミリー』とたたえられる一族で、元大統領の唯一の継承者という女性を大使にすることは、米国が日本を重要視している印象を全世界に与えると思います」

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