中国の原油輸入量が米国を抜いて、ついにトップに立った。石炭、鉄鉱石、豚肉は世界の半ば以上を消費している。独裁政権にカネをばらまき、武器を輸出し、そして中国から技術者を連れてきて、資源を奪い取る。現地で潤うのは一部のみだ。その身勝手な「資源外交」は、その地にさらなる「虐殺」まで生み出しているのだ。

 

「中国自体が世界有数の資源保有国なんですが、なにしろ13億人の人口を抱えているから、1人あたりの資源では資源貧国といっていい。そこで海外の資源を使って成長していこうと考えたんです」(資源・食糧問題研究所代表の柴田明夫氏)

 

いうなれば「資源帝国主義」である。こうした手前勝手な理由から、強引な「資源強奪外交」を繰り返してきた中国は、ときに「虐殺」まで引き起こすと言うのは、経済評論家の上念司氏だ。

 

「中国は欧米の石油メジャーが手を出せないような独裁国家に進出するんです。独裁者にカネをばらまき、武器を提供する見返りに石油などの資源を手に入れるわけです。有名なのは’03年に起きた南スーダンのダルフール虐殺です。内戦で20万人が犠牲になり、250万人が難民になったといわれていますが、この虐殺に使われたのは中国製の武器だった」

 

中国が尖閣の領有権を主張しはじめたのは、’68年に尖閣諸島付近の海域に石油や天然ガスが埋蔵されている可能性が確認されて以降のことだった。ことは尖閣だけではない。新たな火種がインド洋にもあると、評論家の宮崎正弘氏は警告する。

 

「中国は、ミャンマー、バングラデシュ、スリランカ、モルディブ、パキスタン、ケニアに海軍の軍港を建設する戦略を進めている。これはアラビア海、ペルシャ湾から海南島の中国海軍基地に至る原油のシーレーンを確保するのが目的ですが、仮想敵国・インドを想定した戦略でもある。つまり、中国とインドとの衝突が起こる可能性がある」

 

したたかで危険な中国の資源外交に大きく出遅れた日本は巻き返すことができるのか。安部首相は9日から7日間のアフリカ訪問で、「’16年までに10億ドル(約1千億円)」と表明していた民間開発への円借款を20億ドルに倍増することや、紛争・災害対策に3・2億ドル出資すると表明した。

 

「金額的にも少ないし、その中身は人材育成や環境技術移転、病院・学校建設などの振興策ばかりで、資源獲得についての具体的なビジョンをまったく明示しなかった。これでは中国に対抗できません。なにしろ、中国は日本ができない“芸当”をやってのける。平然と相手国の権力者に賄賂を渡しますし、武器輸出を取引材料にすることができてしまう」(前出・宮崎氏)

 

また、前出の柴田氏は、中国の資源外交が大きく変化する可能性は、「中国が経済的に大きなダメージを受けた場合」だと言う。世界の資源を食い散らかす無法者・中国の“侵略”を止めるには、中国の自滅を待つしかないのか。

 

(週刊『FLASH』2月4日号)

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