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「2月10日に安倍首相が訪米し日米首脳会談を行うわけですが、トランプは下がる一方の支持率を気にして米国民にウケる要求をしてくるでしょう。そこでガツンとノーと言えればいいのですが、安倍さんでは言えないのでは」と語るのは、経済評論家の森永卓郎さん。

 

TPPからの離脱を表明したり移民・難民の入国規制に関する大統領令に電撃署名をするなど、これまでの米国政治の常識をことごとく覆す行動に出ているドナルド・トランプ米大統領(70)。アメリカ政治に詳しい国際ジャーナリストの堤未果さんも、懸念を表す。

 

「トランプは“国内優先主義”ですから、日米関係も今までのような主従メンタリティのままでは、ますます足元を見られます。日米自由貿易協定(FTA)も在留米軍基地経費も譲れば譲るだけ損をする。そのしわ寄せは全て私たち国民がかぶることになります」

 

トランプ政権の無理が通れば、直接私たちの生活にも影響が出だろう。そこで識者&有名人が、トランプ政権が突き付けてくる“トンデモ政策”を予想した。まず全員懸念するのは、米軍事費の肩代わりによる税金の負担増。森永さんは在日米軍だけではなく、ペルシャ湾などに展開する米軍部隊の人件費や装備費まで負担を迫ってくる可能性があるという。

 

「とにかくトランプは他国にコストを負担させたいわけです。米国防省の第二の財布になる可能性もありますよ。下手したら1兆円に迫るくらいの巨額負担もありえます」

 

さらにトランプの要求を飲んでいると、日本人の命が危険にさらされる可能性も。軍事面で言うと、日本がテロの標的になる可能性を元外務省情報局長の孫崎享さんは「トランプ政権になって初の軍事作戦が1月末にイエメンで行われ、女性や子どもなどの市民が犠牲に。こうした紛争地域にも日本の自衛隊が派遣させられる可能性があります」と指摘する。

 

紛争地域に自衛隊が派遣された場合、今後、米国を敵視するテロリストから日本がテロの標的になる可能性も出て来るという。さらに、トランプは自分の支持者に多い米国人農家の利益のために極端な政策を押し付けてくる可能性が強い。

 

「トランプは米国の農産品関税を一気にゼロにしろと言ってくるでしょうね。そうなると牛肉にとどまらず、豚肉や米などあらゆる米国産の農畜産物が雪崩れ込んでくるでしょう。日本の農家は、ほとんどが廃業ということになりかねません」(前出・森永さん)

 

女性にとっては大事な「移動の足」である軽自動車も値上がりするかもしれない。国際ジャーナリストの小西克哉さんは「軽自動車を優遇する税制が米国車の日本進出を妨げているという理屈で、税制度に文句を言う可能性があります」と語る。この予測でトランプに呆れるのは、テレビプロデューサーのデーブ・スペクターさんだ。

 

「トランプはアメ車を買えと言ってくるでしょうが、あんなデカくて日本の道路で扱いにくい車、所ジョージさん以外は買いません。トランプは金持ちだから自分で車を運転しません。アメ車の性能もどんなものか知らないんです」

 

虎の子の私たちの年金もすでに危機にさらされている。

 

「我々の年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が米国のインフラ事業に投資し、米国国内の数十万人の雇用創出に繋げていくという構想があります。130兆円の運用資金のうち5%まで海外運用が認められていますから、単純計算で最大6.5兆円もの年金が米国に貢がれることになります」(前出・森永さん)

 

子供の命や食の安全をおびやかし、老後の年金も溶かそうとするなんてトランプはまさに「女性の敵」。東京大学東洋文化研究所教授の安冨歩さんはこう強調する。

 

「女性蔑視はトランプ氏が大っぴらにやっているから非難されているだけで日本も似たようなものです。安倍首相ともそういう面で共鳴するのでは?女性が輝く社会、多様性のある社会なんて言ってますけど、安倍首相は本音ではそう思っていませんから。これから大手を振って女性蔑視的な政策が日本でも出てくる可能性があります」

 

こんなトランプ氏に対抗する術はあるのだろうか。堤さんは最後に「トランプ氏のトンデモ要求が出てきても日本は自分たちの利益を第一に考えて、きちんとアメリカに要求を伝えていく必要があります。日本にとっても日米関係を見直すチャンスなのです」と語る。安倍首相には、女性はもちろん日本国民全体を第一に守るリーダーであってほしいものだ。

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