ヨガの「断行」「捨行」「離行」を応用し、自分とモノとの関係を問い直し、人生を整えていく――。「断捨離」を提唱するやましたひでこさんが、新刊『50歳からラクになる 人生の断捨離』(祥伝社)を発売した。

 

50歳を迎えた人たちが断捨離を応用し、どのように人生を快適に過ごすか、を解説したこの本は、やましたさん自身の経験と、彼女のセミナーに参加した受講生の悩みから生まれた、初めての“生き方本”だ。

 

やましたさんに断捨離を決断させたのは、ある人の「人は50歳で生まれ変わるんだよ」という言葉だった。

 

「人は幼いころから、親や周囲の観念を取り込みながら成長し、それを引きずり生きていきます。そこから解き放たれ、自分が採用した観念で生きていけるのが、50歳になるころから。そこが新たなライフステージの始まりなんだと、気づいたんです」

 

とくに女性の場合は40代から50代にかけて「人生の地殻変動」が起きるという。子供が成長し自分の手を離れていく世代だ。自分の役目が終わったような喪失感や、自分を犠牲にしてきたことへの被害者意識が澱のようにたまって、人生の“詰まり”を作っていくのだという。

 

50代からの断捨離とは、人生の“詰まり”を取り、新陳代謝させること。そのための3つのポイントをやましたさんに教えてもらった。

 

【1】「知らず他人軸」に注意する

「明確な意図を持って相手のために行動するなら、それは『気づかい』。しかし、つねに他人にどう思われているか気をもんでいるのは、『知らず他人軸』に振り回されている状態です。これが長時間、蓄積されると、人生がとても重く感じられます」

 

【2】「いい人と思われたい」という発想をやめる

「いい子」「よき妻」「いい社員」……人は、他人の機嫌に敏感に反応し、いい人物と思われようとふるまうもの。「しかし『いい人』を演じ続けていると、気持ちが消耗していきます。はっきり言いましょう。身近な誰かの機嫌が悪くても、それはあなたのせいではありません。自分の人生の主役はあなた自身。だからまずは、あなた自身の気持ちを優先して、ご機嫌にしていきましょう」

 

【3】何事も自分で決めて、結果は引き受ける

自分のまわりのモノや観念、人間関係を絞り込んでいくのが、断捨離の方法。そのときに基準となるのが、「自分軸」と「今」という時間軸だ。「今の自分にとって、不要、不適、不快なものを処分していきます。そうやって自分で決めて行動できるようになると『自分の人生を生きている』実感が生まれ、生きやすくなります。たとえば、知り合いから旅行に誘われたとき、うれしいけれど、どうも気が進まない……そんなときは、自分の気持ちにしっかり耳を傾けましょう。『今の私の心では、本当はどう思っているの?』と。すると、気が進まない理由が浮かびあがってきます」

 

そのうえで、判断し結論を出せば、胸のつかえはとれて、心のわだかまりもなくなるという。50歳からの断捨離は、新たな自分になるための、人生の棚卸しのようなもの。あなたもスイッチを入れてみませんか?

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