加齢による“卵子の老化”が知られるようになり、働く女性の間で新しい選択肢「卵子凍結」が注目されている。そこで今回は、今年5月から卵子凍結サービスを行っているリプロセルフバンク(東京都新宿区)の香川則子所長に、その技術を“Q&A”方式で解説してもらった。

 

【Q1 費用はどれぐらいかかりますか?】

「卵子凍結技術提供料が24万円、採卵手術に50万円です。また、卵子1個あたり、年間1万500円の保管料がかかります」(香川先生・以下同)

 

【Q2 採卵はどうやって行うのですか?】

「膣に超音波検査のプローブを入れ、そこから採卵針を伸ばし卵が入った袋に刺して、卵胞液(卵を育てている液体)ごと卵子をチュッと吸い取ります」

 

【Q3 採卵するときに痛みはあるのでしょうか?】

「全身麻酔を行うので、痛みはまったくありません。術後の安全のために、3泊4日の入院を必要としています。手術自体は30分から1時間ほどです」

 

【Q4 月のどのタイミングで採卵するのですか?】

「お薬で卵の成熟を促せるので、いつでも大丈夫です」

 

【Q5 一度に何個ぐらい採卵できるのですか?】

「その方の卵巣機能によって変わります。卵巣が元気なら一度に10個ぐらい採れることも。やはり年齢を重ねると数は減り、40歳を超えるとだいたい一度に2~5個ぐらいでしょう。1回採卵したら3カ月ほどお休みが必要です」

 

【Q6 凍結はどうやってするのですか?】

「採卵した卵子を洗い、シートに載せて、卵子の組織が傷つかないようにマイナス196度の液体窒素で急速冷凍させます」

 

【Q7 保存期間が長いと、卵子が劣化することも?】

「劣化することはありません。理論上は千年間、保存が可能です」

 

【Q8 妊娠しやすいのは、何歳のまでの卵子でしょうか?】

「34歳までに保存ができると、いちばん出生率が高い状態で保存できるといえるでしょう。体外受精で出産できる割合は、25歳でも20%ぐらい、それが35歳を超えると10%、40歳を超えると5%程度にまで下がります」

 

【Q9 何歳ぐらいで使用するのが望ましいのでしょうか?】

「39歳までは自然妊娠をオススメしています。その後、使い始めてはいかがでしょう。そして、2人目、3人目の妊娠に使っていただくのがいいのかなと。40歳で自然妊娠するよりも、卵子が若いぶん流産も減るでしょう」

 

 

非常に高度な技術を要し、日本でもこの技術を持った施設は数えるほどしかないという。女性は常に何かしらの“タイムリミット”を突きつけられている。この技術が、防御策のひとつになるかもしれない。

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