「『DO YOU KYOTO?』という言葉は、世界中で『環境にいいことしていますか?』という意味で使われています。その誇りと責任を自覚してエコ活動が地域に浸透し、環境にやさしいライフスタイルが根付いています」
門川大作京都市長がそう語るように、’97年12月、「気候変動枠組条約に関する京都議定書」が採択されて以来、京都では市民によるエコの取り組みが盛んに行われている。
紅葉の名所「嵐山」の渡月橋は、夕暮れになると足元が行灯のような趣きのある光でライトアップされる。そのLED照明灯60基分の明かりは、桂川を流れる水の力で生み出されているのだ。
「現在の渡月橋は、’94年から’00年にかけて改修されましたが、景観への配慮から照明の設置が見送られました。その後、照明がないことで、事故や防犯への不安が住民から寄せられたんです。そこで私たち『嵐山保勝会』は、桂川の流れを使った、小水力発電による照明設備の申請を行いました。’05年12月から稼働しています」
嵐山保勝会(京都市右京区)小水力担当理事の吉田憲司さんが語る。国土交通省が管轄する「一級河川」を利用して、市民の事業者が小水力発電設備を設置するのは、日本初だという。
発電機があるのは、渡月橋の上流約100メートルのところにある「一の井堰」。ここにある1.5メートルほどの水の落差を利用している。渡月橋の夜間照明を賄うだけでなく、余った電気は関西電力へ充電する仕組みも作られた。
台風の影響で現在は発電を中止しているが、11月には再び稼働する予定。橋のたもとにある電光掲示板には「現在、毎時何キロワットで発電しています」という表示が出ている。紅葉だけでなくこちらにも注目したい。
京都では、先進的な活動に取り組む個人や団体を表彰する「京都環境賞」も、今年で10回を数えた。使い捨てが当たり前の生活から「ものを大切にするライフスタイル」への転換を図る「KYOTOエコマネー」といった、“日本初”のエコな取り組みも進めている。
「京都の町を歩いてみますと、歴史や伝統の中に意外な発見があります。ぜひ、環境先進都市でもある京都の町歩きをお楽しみください」(門川市長)