「あれは……6年前です。当時、まだ深夜バイトをしていたんですが、めちゃめちゃヘコんで、疲れ果てて家に帰っているときでした。荻窪の雑貨屋さんで1体のこけしと出会ってしまって……」

 

こけし顔の芸人、タンポポの川村エミコ(34)が、静かに、熱を込めて語り始める。今、こけし好きな“こけ女”が増殖しているというのだ。

 

こけしは江戸時代末期に東北でうまれた民芸品。もともとは木地師(木を用いて生活必需品などを製作する人)が子供用に作ったおもちゃだった。作者が生活する土地の風土や、師から伝えられた型など、特質によって11の系統に分けられるそうだ。

 

「それは、おめめぱっちり、キュートでレトロな津軽系こけしでした。脇目もふらずまっすぐ見つめる、実直な感じがどうしても気になってお持ち帰りしたんです。それから、こけしに関していろいろと調べたり、イベントに参加するようになって。3年前には『東京こけし友の会』という会にも入って、情報を得ているんですよ。ふふ。なかなか仕事で行けないんですけどね。今では家に70体ほどのこけしが集まってきています」

 

川村がつけたキャッチコピーでこけしの系統を紹介すると、先の〈津軽系〉以下、古風な着物美人〈木地山こけし〉、カタカタ南部〈南部こけし〉、日本美人〈鳴子こけし〉、奥ゆかしい内助の功〈作並こけし〉、色白あでやか美人〈遠刈田こけし〉、POPなおちゃめガール〈弥治郎こけし〉、あなたの後ろに山形系〈山形こけし〉、肝っ玉こけし〈肘折こけし〉、グラマラス蔵王〈蔵王こけし〉、しましまガール〈土湯こけし〉の11系統。

 

「こけしって聞くと、おばあちゃんの家の棚の奥のほうにあって、なんとなく怖いイメージをもつ人もいると思うんですけど、1体1体表情が違うし、着ているものも違うし、とってもかわいくて。私の今の楽しみは、夜な夜なこけしたちに話しかけながら、立ち位置を並べ替えること。うふふ。センター争奪戦です。今『こけ女』が増えているんですけど、たとえばインテリアショップとかに置いてもらって、こけしのよさをもっともっと多くの人に知ってもらいたいですね」