「会津には水と食料が豊富にある。それだけで生きていけると思っていました。でも違った。あの原発事故があって、水と食料と、エネルギーも必要だと思い知らされました。会津には豊富な水力発電もあるが、それらは全部、中央のもの。福島はエネルギー植民地だったんです。それなら、地元にある資源を使ってエネルギーをつくろうと。我々がつくったエネルギーで福島県全体をまかない、植民地から脱却し、自立しようと」

 

よく通る大きな声でそう話すのは、会津電力の佐藤彌右衛門社長(63)。会津電力は、福島県の会津地方・喜多方市で昨年8月に設立された。現在は太陽光発電が中心だが、今後は水力や木材を使うバイオマスでの発電も視野に入れている。自立する福島の拠点になるべく発電所の建設を進めている。

 

喜多方市内から車で約20分。雄国山麓の約2万6千平方メートルの広大な斜面に、3千740枚の太陽光パネルが設置される予定だ。雄国発電所は9月までに完成し10月から稼働開始。発電量は1千キロワットで一般家庭250世帯分。年間売り上げは約4千700万円を見込む。

 

また、雄国から車で約15分の岩月発電所は、山間の敷地にパネルの設置が完了し、通電を待つだけだ。

 

「岩月の発電量は約300キロワットですが、会津電力全体では23カ所で約2千600キロワット。年間売り上げは約1億2千万円を見込み、10月末にはすべてが稼働します」(佐藤社長・以下同)

 

福島第一原発1号機の発電量は46万キロワットだったので、まだ180倍近い開きがある。

 

「今後は発電量を増やすためにも、効率のいい水力を進めたい。いまや、東京電力は実質、国有企業です。水利権などを身売りすることがあるかもしれません。そのとき、会津電力が買い取れるよう、経済力と信用を積み重ねておきたいと考えています」

 

最近では福島県議会議員はじめ二本松市や只見町、柳津町など県内の自治体から、視察の申し込みが相次いでいる。

 

「電力は新しい事業じゃありません。足元にある資源をもう一度見直して活用するだけ。全国で、あらゆるジャンルでこれができたら、日本は変わると思いませんか」

 

会津電力の挑戦から目が離せない。