隔週連載〈中山秀征の語り合いたい人〉、今回のお相手は、若者の立場から社会を鋭く読み解く社会学者の古市憲寿(のりとし)さん(29)。現代日本を取り巻くさまざまな問題を根本から考える。その、締めくくり編だ。

 

中山「今日はいろいろな社会の問題について伺って、あらためて社会は一つ一つを切り離せないというか、つながっているんだな、と感じました」

 

古市「社会ってさまざまなものが一緒に動いているものなんですよね」

 

中山「その社会は、これからどう変わっていくと思いますか?」

 

古市「今後は間違いなく女性の時代になっていくと思います。これまでは、製造業など無口な男性が得意な仕事がたくさんありましたが、これからは、介護や育児などコミュニケーション能力が必要な仕事が増えていくはず。だから一般的に、コミュニケーション能力が高い女性にとっては、未来は暗くないと思いますし、女性が女性らしい面を生かした仕事が求められる社会になっていくんじゃないでしょうか。反対に、女性的なそうした能力に乏しい男性にとってはつらい社会になっていくかもしれません」

 

中山「物はもう完成しているから、これからはそれをいかに売っていくかという時代に入ってくるわけですね」

 

古市「はい。女性にとっては明るい未来が待っていると思いますよ」

 

語り終えた後、中山秀征はこう言った。

 

「僕らの世代は夢を語って終わりだけれど、夢を聞かれ続けた彼らの世代は夢を実現した後のことまで冷静に考えているんですね。世代や立場によって物の見方がまったく異なること、ゆえに自分こそが正解だと思わないことを教えてもらいました」

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