アルコールやギャンブルよりも、さらに周囲の理解が得られにくく、治療の場や自助グループの数も少ないセックス依存症。本誌も当事者への取材を試みたが、かなわなかった。そこで、恋愛やセックス事情に詳しく、セックス依存症当事者にも数多く取材を重ねてきた作家の亀山早苗さん(54)に話を聞いた。

 

「ある取材で出会った20代後半の女のコは、地方の団体職員。一見とても真面目そうで清楚な女性でしたが、その外見と裏腹に『お酒を飲むと男が欲しくなって、毎晩違う男性と、ホテルで関係を持ってしまう』というんです。女のコはそのことに罪悪感を抱いていました。でも、『女性は求められてなんぼ。抱かれていないと女じゃないと思ってしまう』と強迫的にセックスをするのに、誰としても感じない。そのむなしさに苦しみながらも、また繰り返してしまうというのです」

 

またある40代の主婦は、10年以上夫とセックスレス。オーガズムを知らないことにコンプレックスを抱き、しかも「50歳で女は終わる」と思い込んでいた。

 

「それで、『49歳までにオーガズムを得たい!』と急に婚外セックスを初めてしまったんです。性感マッサージや3P、出張ホストなど行動はエスカレート。ついには風俗店で働き始めてしまいました。快感自体はあるらしいので『それでいいんじゃない?』と言うと、突然『あなたは感じたことがあるんでしょうけどね!』と泣き叫んだのです。『オーガズムを知らない自分は、女として欠けている』と言わんばかりでした」

 

いずれの女性にも共通するのは「女」としての焦燥感や、居場所のなさから来るむなしさ。悦びのないセックスに身を投じることで、自分の価値を確認しているようだ。

 

「強迫観念からくるセックスの場合、素性のわからない相手と寝てしまい、避妊などもおろそかになりがち。望まない妊娠や病気のリスクがあるだけでなく、事件に巻き込まれる可能性もあるので注意が必要です」

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