7兆円以上もの経済効果が見込まれるとして、注目されるカジノ法案。そのいっぽうで、ギャンブル依存症が増えるのではという懸念もされている。

 

観光拠点としての役割は認めつつも、「みだりに賭博場に出入りしないための対策を」というのは、元買い物依存症でウーマンフィナンシャルカウンセリング協会代表の西村優里さん。

 

「依存症は習慣の形成によって、発症します。日本のギャンブル依存症患者が世界に比べて多いのは、街中のいたるところにパチンコ店があるからでしょう。カジノも、誰もが気軽に立ち寄れる大都市への建設には反対。さらに、自国民に対して入場規制をかけるなど、“習慣を後押ししない”施策が必要だと考えます」(西村さん)

 

こちらも元買い物依存症でギャンブル依存症を考える会代表の田中紀子さんも、「カジノ法案には賛成でも反対でもありませんが、導入するなら依存症対策法案を」と、カジノに限らず、ギャンブルすべてを含めた対策をするべきだと強調する。

 

「カジノカジノと騒いでいますが、カジノの粗利は年間マカオで4兆円、シンガポールでも6千億円です。いっぽうで日本のパチンコは20兆円産業!こちらの依存症被害のほうがよほど深刻です。これを機会に、すべてのギャンブル施設について、taspo(未成年者の喫煙を防ぐ、成人識別ICカード)のようなセキュリティシステムの導入を、検討してほしいですね」(田中さん)

 

行動のコントロールがきかないところが、依存症の特徴だ。経済効果の代わりに国民の生活が失われることがないよう、慎重な対策が望まれる。

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