3月8日に逝去された塩月弥栄子さん(享年96)。その著書『冠婚葬祭入門』シリーズは、’70年に初版が刊行され、合計で700万部を超える大ベストセラーに。昭和の時代の「しきたりやお作法のバイブル」は、平成のいまもなお、確実に私たちの「?」に答えてくれる。そのエッセンスを抽出して、お届けしたい。

 

《葬》とは?

人生の最終の儀式ですから、凶事のなかでももっとも大きな儀式です。肉親と近親者が死に目に接し、通夜、葬儀でしなければいけないことから、順を追っていきます。

 

【1】一膳飯には、個人愛用の茶碗に箸をつきたてる

遺体の枕元には、逆さ屏風を立て、その前に小机を置いて、花の一輪ざし、香炉、燭台、水、一膳飯、だんごなどを供えます。これらを枕飾りといいます。

 

【2】とりあえずの弔問は、平服のままでよい

突然の訃報を伝えられ、とりあえずの弔問にいくときは、平服のままかけつけます。通夜の前のとりあえずの弔問は、親戚とか、親しい友人に限られます。ふつうのおつきあいなら、通夜の祭壇の準備も終わり、遺族が一段落したところを見計らってお悔やみにうかがいます。

 

【3】香典は、心づもりより多目に入れる

香典はもともと、供物をするかわりに現金を包む、という性質のものです。昔から「慶事には少なく、弔事には多く」と言われているように、心づもりよりは、いくぶん多い金額を包んだほうが無難だと思います。

 

【4】お悔やみのことばはつきなみなほどよい

「このたびは誠に思いがけないことで……」だけで、あとはことばになりにくいのがふつうですが、それでいいのです。遺族と視線を合わせてお辞儀をするとき、深い哀悼の表情があらわれていれば、誠意あるお悔やみになります。

 

【5】喪主は弔問客を見送らない

「ご愁傷さまです」と弔問を受けたら、遺族は、「ありがとうございます。故人もさぞよろこんでおりましょう」とお礼を言います。弔問客の多い場合は、ただ、「ありがとうございます」と深く頭を下げるだけでいいのです。

 

【6】焼香の手のあげおろしは1回だけでよい

焼香は故人と1対1で向き合う最後の機会です。心の中で別れの言葉をかけましょう。右手で香をつまみ、額に押しいただいてから香炉に落とします。香は、仏、法、僧に3回献ずるのが正式ですが、会葬者の多い場合などには1回にします。

 

【7】香典返しは、目上、目下にかかわらず、もらった金額の半分以下でよい

(香典返しは)多くても、もらった金額の半分以下でいいのです。その品物は、ふろしき、シーツ、タオル、白木綿、白絹、漆器、茶、砂糖などの生活必需品がふつうです。香典返しには、おもてに、「志」か「忌明け」と書いて白黒の水引をかけます。