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劇団四季の新作ミュージカル『ノートルダムの鐘』が今月11日に幕を開ける(東京浜松町・四季劇場[秋]にて)。19世紀フランスの文豪、ヴィクトル・ユゴーの原作を基に過去にディズニーアニメーションとしてもヒットした本作。これまで『ライオンキング』をはじめ数々の傑作ミュージカルを世に送り出してきた劇団四季とディズニーの作品だけにファンのみらなず期待が高まる。

 

この作品で、日本語台本と訳詞を担当するのが『アナと雪の女王』の訳詞で“ありのまま”ブームを巻き起こした立役者、高橋知伽江さん。開幕よりちょうどひと月前、初の通し稽古を終えた高橋さんに、その感想からお話をうかがった。

 

「あらためて、すごく重厚な作品だと思いました。一つ一つのセリフや歌詞は氷山の一角で、その言葉の下には大きな思いが込められているのを感じます。何より音楽が素晴らしいですね!冒頭の楽曲が流れた瞬間に鳥肌が立ってしまいました。あまり好きな言い方ではないのですが、若い人がよく“◯◯は神”なんて言いますけど、この作品は本当に音楽が神だな、と思います(笑)。何百年も昔の違う国の話なのに、音楽の力で一気にその世界へ連れていくことのできる、本当にすごいミュージカルだと思います」

 

まるでこの日、初めて作品を見たかのような高揚感が高橋さんの話しぶりにはあらわれていた。

 

「目の前であれだけの人たちがその一瞬一瞬を生き、命を燃やしているわけじゃないですか。その迫力こそが舞台の持つ力なのだと思います。20代のころに劇団四季で、自分が書き直した無機質なセリフを役者が発して命を吹き込む瞬間に初めて立ち会い、“言葉が命をもった。なんて素晴らしいんだろう!”と思ってしまったんです。その瞬間の感動のようなものを今もずっと忘れられず、今日に至ったんだと思います(笑)」

 

年末年始は、本作以外にも携わった作品が2本上演されるだけでなく、3年前から水戸芸術館で演劇部門の監督としても働く超多忙な高橋さん。原動力とは?

 

「自分の才能のなさに嫌気がさして、何度も何度も演劇から離れようと思ったことはあります。こうして仕事をせずとも何の問題もなく生きられるとは思うのですが、でもどこかで、書いていない、言葉と向き合っていない自分というのは自分じゃないような気がするんです。それで結局この仕事に戻って、自分の能力のなさとも向き合う。けれど、続けていればこそ『ノートルダムの鐘』のような素晴らしい作品に出合えることもあるんですよね。翻訳、訳詞中の一時期は私自身もその作品の中で生きていて、訳しながら登場人物と自分の人生が重なって感情移入をしていくんです。エスメラルダの歌う『いつか』では、“いつか、もっといい未来が来る”と自分で訳詞をしながら、気がついたらダーダー涙を流していたりして……(笑)。物語と一つになれるそうした幸せというのは、ほかのことでは味わえないからこそ、続けているのかもしれません」

 

撮影/福田ヨシツグ

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