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「65%が20~40代で『一生続けられる仕事を』と、転職組も増えています。80~90代は2,900人、そのうち90歳以上は300人いらっしゃいます」

 

そう語るのは、株式会社ポーラの神谷知子執行役員。現在ポーラには“ポーラレディ”と呼ばれたビューティーディレクター(以下BD)が全国に4万2,000人いる。高齢になっても仕事が続けられるのはポーラ独自の仕組みにあると神谷さん。

 

「ポーラのBDは、会社との委託販売契約を結んだ個人事業主です。仕入れ資金や在庫のリスクもありません。定年もないので、元気で、気持ちがしっかりしていれば、いつまでも働けます」

 

このBDの働き方が、高齢化が進む近年、注目を集め、先月『ウォールストリート・ジャーナル』で「85歳で現役販売員:日本で薄れる定年の考え」という記事が世界に発信された。元気に仕事を続けるBDの“美人長命”の秘密を神谷さんが分析してくれた。

 

【1】徒歩か自転車を使う

 

「二十数年前、私が入社直後、90歳を過ぎても、自転車でお客さまを訪問されている人がいまして。思い返すと、多くの人は自転車か徒歩で訪問に回っていました」(神谷さん・以下同)

 

階段の団地も多かった時代。足腰を強くしたことが長命につながったのかもしれない。


【2】目標を常に持っている

 

「80~90代のBDに『今期の目標は?』と尋ねると、『私はこうしたい』と、即答されます。なかでも数値目標は、目に見えて励みになるようです。頭の回転も皆さん速い。商品も年々更新されますが、常に学び、新しいことにチャレンジして、目標を達成しようとする方が多いです」

 

【3】仕事を越えて生きがいに

 

お客さんからいつも「○日に来てもらえないかしら」と、電話がかかってくる80代のBDも多い。

 

「お顔のお手入れやお孫さんの話と、2~3時間はあっという間。美容以外にも人生の相談相手としてお客さまに信頼されているんですね。1日に会えて2~3人。スケジュールはびっしり。それでも『休みたいと思ったことはない』と、皆さん、仕事が生きがいになり充実されています」

 

【4】人から求められる

 

「80代のBDが、『そろそろ引退しようかしら』と言っても、お客さまから『いつまでも辞めないで』と、ありがたい言葉をいただき、続ける人もいます。同世代の仲間と、『一緒に頑張ってきたじゃない』と、励ましあいながら続ける人もいます。千葉には、共に頑張る85歳、88歳の仲よしコンビがいますよ」

 

高齢になると「(子どもに)迷惑をかけたくない」という気持ちを多くの人が持つようになるが――。

 

「でも仕事を通じて、人に自分が必要とされていることを、日々実感しています。周りの人たちから求められ、また、その人たちの魅力を引き出し続ける。それが生きる力、輝く源になっていると思います」

 

彼女たちが、人生100年という時代に、“余生”“老後”という考え方をしないで、枯れずに咲き続けられる秘訣は、仕事=生きがい、すなわち人生だからかもしれない。

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