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まずはクイズ。次の3つの表示のうち、国産の原材料が必ず使われているのはどれ?

 

A:国産またはアメリカ産

B:国産または輸入

C:国内製造

 

じつはA~Cいずれの表示も、国産の原材料が入っているとは限らない。昨年9月1日から実施された「加工食品の原料原産地表示」の全面義務化。その背景を、食品問題に詳しい垣田達哉さん(消費者問題研究所代表)が解説してくれた。

 

「新しい原料原産地表示では、すべての加工食品について、食品の中で使われている重量が最も多い原材料の原産地を、ラベル等に明記しなければならなくなりました。マスコミでもあまり大きくは報じられなかったので、ひっそりと始まったような感もありますね」(垣田さん・以下同)

 

’22年3月まで猶予期間が認められているため、現在はまだ原産地が表示されていない商品が多い。しかし、早ければ本年度中にも、大手メーカーを中心に順次、表記が変更されていく見通しだという。

 

「もともと、ウナギのかば焼きや海苔製品など、22食品群と4食品(加工食品全体の1~2割程度)は、原産地表示が義務づけられていました。今後は、これがすべての加工食品に適用されるわけです。原産地の表示は、消費者にとって大切なことです。たとえば、コンビニの総菜コーナーで販売されている鶏のから揚げは、ほとんどがブラジル産の鶏肉。しかし現状、原産地表示があるものは少ない。それが一目でわかるようになれば『これほど外国産が多いのか』と、驚きをもって実感でき、日本の食品事情の実態を知るきっかけになる。そこに意義があるんです」

 

ところが、今回の原産地表示には思わぬ“抜け穴”があった。それが冒頭のクイズのような曖昧な表示が認められたという点だ。消費者庁が基本としている原産地表示は、その国名をしっかり明記するもの。

 

「原産地が単一国なら簡単ですが、たとえばポークソーセージのように、数カ国の原材料(豚肉)を混ぜて作る商品もあります。その場合、配合重量の多い国順に、たとえば『アメリカ産、国産、カナダ産』と表記。国名の間が『、』で表示されているときは、表示のすべての国の肉を混ぜて使用しているという意味です(3カ国以上の原材料が使われている場合、3カ国目以降は『その他』と略して表示されることも)」

 

しかし今回、それにとどまらない例外表示も認められた。

 

「例外表示のポイントは3つ。1つめが、原産地が3カ国以上の場合、国名を記さず『輸入』とまとめて表記してよいという“大くくり表示”が認められたこと。2つめに、仕入れ国の変更などが多い場合などに、国と国を『または』でつなぐ“可能性表示”も許されたこと。先の『国産またはアメリカ産』の場合、国産100%、国産とアメリカ産の混合、アメリカ産100%、いずれでもOK。つまり“国産”の文字がありながら“国産ゼロ”の可能性もあるのです」

 

3つめのポイントが、この“大くくり”と“可能性”を合体した「国産または輸入」という表示。

 

「この『国産または輸入』という表示は、国産と3カ国以上の外国産、そのいずれかが使われていることを意味します。これでは極端な話、地球上のあらゆる国の原材料が含まれてしまうのです」

 

加えてもうひとつ、誤解を生む恐れが大きいのは「国内製造」という表記だ。

 

「小麦粉が主原料である食パンやうどんの例でいうと、現状、特に『国内小麦使用』と謳っていない商品は、ほとんどが豪州産やアメリカ産小麦を使用しています。ただし、日本で製粉した場合、『国内製造』という表記が許され、小麦の原産地表示義務はありません」

 

もし国産小麦粉を使っているのなら、メーカーはそれを強調したいだろう。逆に、「国内製造」としか書かれていない場合は、ほぼ外国産小麦と考えてよさそうだ。

 

このように、新しい原産地表示では、“国産”や“国内”の文字があっても、真に受けていられないのだ。

 

「ただし、メーカーが例外表示をする場合には、過去3年間のうち1年間の該当データを提示する必要があり、消費者庁もこれを厳しくチェックすると言っています」