「4月から『診療報酬』が改定され、病院の窓口で支払う医療費が変わります。医療報酬とは、診察や検査、薬などの料金や、それに伴う手数料などを決めているもので、2年に1度見直されます」
こう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。4月から改定される「診療報酬」。そのなかで家庭に影響が大きそうなポイントは、おもに2つだという。荻原さんが解説してくれた。
【1】「初診は大病院ではなく『かかりつけ医』で受ける」体制を、さらに推進
「2年前の改定で、500床以上の大病院では、紹介状なしの初診の患者に、5,000円以上の特別加算を行うことが義務化されました。これは、従来任意だったものが義務化されたことと、保険のきかない定額負担だったため、インパクトが大きかったと思います。今回は、この対策が500床以上の262病院から、400床以上の410病院へと拡大。背景には、大病院を重篤な患者の治療に専念させ、日々の診察は『かかりつけ医』へと役割分担を強化するねらいがあります」(荻原さん・以下同)
かかりつけ医は必要に応じて、専門の病院を紹介する。また在宅患者の訪問診療や、病状の急変に24時間対応することなども求められる。
「ただ、町の病院単独でこの体制を維持するのはむずかしく、普及が進みませんでした。今回の見直しでは、地域の病院が連携して24時間対応を維持する体制を整えられれば、初診料が800円上乗せされます。これは保険がきくので、3割負担の方は240円プラス。多少の負担は、かかりつけ医制度を支えるための“応援料”だと私は思います」
【2】「看護・介護から看取りまでを在宅で行う」よう推進する見直し
「スマホやパソコンを利用した『遠隔診療』が認められ、『オンライン診療料』も新設されました。通常の訪問診療に加え、テレビ電話などを使って在宅で診療が受けられるようになると、患者も付き添う家族も助かるでしょう。いっぽう現在、死亡者の75%以上が病院で亡くなっています(’13年・厚生労働省)」
しかし今後、死亡者数は’40年にピークを迎え、’16年より約37万人増えて、約168万人になると予想されている(’17年・内閣府)。このままでは、病院はパンクしてしまう。
「そこで今回の改定では、介護福祉施設が病院と連携して看取りを行えば、介護福祉施設も病院も収益が得られるようになりました。とはいえ、医療と介護の連携は始まったばかり。今後、もっと密な連携を進めてほしいものです」