「世帯分離をしていても、親を扶養とすることは可能です。そうすると収入から扶養控除が差し引かれ、そのぶん所得が少なくなるので、所得税や住民税が安くなります」(某地方都市で税の徴収を担当する地方公務員のXさん)
アベノミクスなど、どこ吹く風。親や子どもにお金がかかり、毎日の生活がやっとな家族が多い。先進国のなかでも貧困率が高い日本。しかし、そんな人たちこそ“控除漏れ”により、税金や保険料を払いすぎている場合があるという。
親が75歳以上になると全員「後期高齢者医療制度」に入る必要があるため、夫の保険の扶養には入れない。また、国民健康保険には扶養という概念がないため、たとえ両親が75歳未満でも、夫の保険の扶養に入れない。だが、それは「同じ保険に入れることができない」という話。
「扶養には、保険を一緒にするという意味のものと、もうひとつ、所得税や住民税を安くするという意味のものがあるのです。税金面では、親が75歳以上でも、夫(子)が国民健康保険の加入者であっても、親を扶養とすることは可能です」(ファイナンシャルプランナー・西山美紀さん)
その条件は、大きく分けて3つ。6親等内の血族、もしくは3親等内の姻族であること。さらに、扶養とする相手の所得が38万円以下であることだ。
「ただし、仕送りをしていれば別居でもOKです。仕送り額に明確な決まりはありませんが、2万〜3万円程度では養っているとは考えにくいため、やはり5万〜10万円ぐらいは仕送りしている必要があるのではないでしょうか。また、仕送りを証明する口座のやりとりも残しておきましょう」(税理士・落合孝裕さん)
所得の基準に関しては、65歳以上の親族なら、年金受給額158万円以下が該当。年金には120万円の控除があるので、158万円以下なら控除後の所得が38万円になる。
親の面倒をみるのは子の務め。ならば、条件さえ合うのなら、扶養とすることで、せめて税金は削減しよう!