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「貯蓄から投資へ」という風潮のなか、投資信託が人気を集めている。日本の投資信託全体の残高は、今年5月末に初めて100兆円を超えたという(投資信託協会)。「専門家が運用するから安心」といわれる投資信託だが、経済ジャーナリストの荻原博子さんは言う。

 

「それは幻想だと思います。実際に大きな損失を出した投資信託があります。また、投資信託は、保有している間も信託報酬などの手数料が必要。年2〜3%が一般的ですが、これを超える利回りがないと、利益が出たことにはならない。さらに、『専門家』を信じすぎだということ。銀行や証券会社の窓口で投資の相談に応じるのは運用のプロではなく、金融商品を販売するプロのセールスマンです」

 

投資信託は投資なので、当然リスクが伴う。他人任せにせず、自分でリスクを負う覚悟が必要だという。最近は『毎月分配型投資信託』が高齢者を中心に一番人気だ。退職金などを預けて運用し、毎月その配当金を受け取るもの。「年金の足しに」と考える人が多いのだが、実は落とし穴が隠れていると荻原さん。

 

「毎月の配当金は、運用の利益だと思いがちですが、そうとは限りません。毎月分配型は、利益が出れば普通配当が、利益がなければ元本から特別配当が支給されます。特別配当は元本を食いつぶすことになりますから、気がついたときには、元本が目減りしているということもあるのです。原理を理解していれば問題ありませんが、ただ勧められるままに投資して元本は残っていると思っていたら、大変です」

 

すでに毎月分配型投資信託を持っている方は、自分の元本が今いくらあるのか、調べること。運用報告書などを見ればすぐわかる。そして、プラスでもマイナスでも、理由を考えること。理由がわかれば、先を見通して、手放すのか、持ち続けるのか、決断できるはず。

 

「ひとくちに毎月分配型といっても、投資先などが多種多様、今後の方針もそれぞれ違うので、自分で考え見極めることが大切です。こういった見極めがむずかしいと感じる方は、投資に手を出さず、手堅く貯金などで資産形成するのがいいと思います。世間の風潮に惑わされないことです。投資するなら、あくまで失ってもいい余裕のお金で行いましょう」

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