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「消費税の引き上げによってさらなる税収を期待している自民党は、税収を減らすことになる軽減税率の対象をあまり広げたくはありません。対象は生野菜や鮮魚などの生鮮食品までにとどめたいのですが、『加工食品も軽減税率の対象に!』と主張する公明党と猛烈な綱引きをしているというのが現状です」(政治部記者)

 

‘17年の4月から10%に引き上げられることが決まっている消費税。増税にともなって、与党内で議論されているのが“軽減税率”の導入だ。軽減税率とは、特定の商品の税率を、他の商品より低く抑えること。対象となった商品の消費税は、引き上げ以降も8パーセントのままになる。

 

そして現在、自民党と公明党は、生鮮食品に関しては軽減税率を認めることでは意見が一致。しかし、公明党の主張のひとつである“加工食品まで対象を広げる”ことをめぐって、両者間で激論が交わされているのだ。その激論が始まっておよそ2カ月。安倍晋三首相は内々に加工食品への対応について結論を出しつつある、と語るのは政府関係者。

 

「首相は軽減税率における消費税の税収減分を、従来の4千億円から最大8千億円ほどへ拡大するつもりです。 つまり“一部の加工食品”は軽減税率の対象として認めるという公明党に譲歩する考えを固めてきているようです。自公の対立は、加工食品をどこまで軽減税率の対象を広げるか、ということに移ってきています」

 

そこで本誌は、自公の協議をふまえて、最終的に何が軽減税率の対象となるのかを“政府関係者、食品ジャーナリストなどへ徹底取材。気になる食品について、軽減税率の対象となるかならないかを想定した。

 

「一部の加工食品に軽減税率が認められるとすれば、より生鮮食料品に近いものから軽減税率の対象になるでしょう。具体的には、数種類の切り落とした生野菜を集めた野菜スティックや、刺身の盛り合わせ。その他にも、牛・豚の合い挽き肉のような数種類の生鮮食品がミックスされただけのもので、そのままの状態で調理が想定されるもの。これは、軽減税率の対象に入ってくると思われます。にぎり寿司など、完全に調理を経ている食品は軽減税率の対象から外される可能性が高いです」(食品ジャーナリスト)

 

しかし、国民生活の必需品とされるものは軽減税率の対象となりそうだ。食品分類法上の『めん・パン類』や『調味料及びスープ』の中から塩・コショウなどの調味料がそれにあたる。

 

「ただし、めん類といってもカップめんのような一度揚げるという製造過程を経ているものは対象外です。パン類については、そもそも食品表示法上でお惣菜として扱われているサンドイッチは対象外です。メロンパンや焼きそばパンに関しては、パンととらえるか、お惣菜ととらえるかの線引きが難しいところですね。現状では、軽減税率の対象にはならないのでは、という見方が強いです。」(前出・食品ジャーナリスト)

 

食卓によく並ぶ梅干しやキムチ、などに関しては、現時点での判断は微妙であるものの、加工に熱が加えられていないため軽減税率の対象になる可能性は高いという。その他、カフェで販売されるコーヒーなどは外食にあたるため完全に軽減税率の対象外。スーパーで売られている缶コーヒーなどの飲料も、現時点では対象となる可能性が低いというのが現状だ。

 

軽減税率がどれほど認められるかによって、家計にもたらされる影響も大きい。本誌では、総務省の家計調査をもとに、実際に税負担がどれほど違うのかを試算した。家計調査によると、昨年、1世帯が支出した外食を含む食費は月平均で6万272円。仮に軽減税率が導入されなかった場合、年間の税負担額は1万4千465円増となる。

 

もっとも実現可能性が高そうな、外食・酒類・菓子類・調理食品をのぞいた一部の加工食品に軽減税率が認められたと仮定すると、1世帯あたりの年間の税負担額は6千399円増。導入されなかった場合と比較すると、負担額は半分以下ですむ。国民の家計のためにも、安倍首相の英断を期待したいところだ。

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