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「’16年から、少額投資非課税制度(NISA)が変わります。NISAとは、投資によるもうけが非課税になる制度です。通常は税金が20.315%かかりますから、メリットが大きいと人気があります。’14年から始まったNISAですが、来年から新たに、ジュニアNISAが新設されることになりました。ジュニアNISAは、未成年者の名義で口座を開設し、親などが代理で運用するものです。来年1月から口座の開設が始まり、運用は4月から行えます」

 

こう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。では、ジュニアNISAは従来のNISAとどこが違うのか。荻原さんが解説してくれた。

 

「まず、投資の年間限度額が違います。従来のNISAは、100万円だった限度額が来年から120万円に引き上げられますが、ジュニアNISAは年間80万円までです。次に、ジュニアNISAでは、金融機関の変更が原則できません。金融機関によって取り扱う金融商品が違いますから、もしジュニアNISAを始めるなら、金融機関選びは慎重に行いましょう」

 

そして、最大の違いはジュニアNISAには資産の引き出し時期に制限があることだ。

 

「名義人が一般的な高校3年生(18歳に達する年度)の12月末までは、現金を引き出せないというルールがあるのです。どうしてもという事情があれば中途解約もできますが、過去にさかのぼって課税され、NISAのメリットは失われます」

 

また、NISA制度は期間限定で、非課税での投資は’23年までと決まっているが、それ以降も前途の引き出し期限までは口座に保管され現金を手にすることができない。

 

「この「18歳まで引き出せない」仕組みが子どもの教育資金作りに向いていると、さまざまな金融機関が宣伝しています。『孫のために』援助したい祖父母にも、大いにアピールしているようです。ですが私は、教育資金作りにジュニアNISAなど投資の利用は避けるべきだと思っています」

 

その理由は次の3つだ。

 

【1】投資にはリスクが伴う

「当然ながら、投資はリスクを伴います。『投資信託だから大丈夫』という方がいますが、’00年に販売された『ノムラ日本株戦略ファンド』は一時、6割も目減りしました。投資信託でも絶対安心ではありません」

 

【2】投資は期間限定には不向き

「投資は期間限定には不向きです。その時々で価格が上下しますから、いざ必要なときに、価格が低迷していることも考えられます」

 

【3】ジュニアNISAの引き出し制限が問題

「ジュニアNISAは一般的な大学進学をモデルとしているのでしょうが、資金が必要なのは受験期だけとは限りません。私立校への進学や高校在学中の塾代など、あるいは、高校へ行かずに留学や専門学校に進みたいといった多様な進路にも、使い勝手がいいとは言えません。また、ジュニアNISAは、資金を祖父母の援助に頼ることも想定しています。ですがジュニアNISAでなくても、年間110万円までの贈与なら、非課税で申告も不要です。祖父母には、必要に応じて助けてもらうといいでしょう」

 

投資は、利益が出ることもあれば、損失を被ることもある。「あくまでも余剰資金で行うのが鉄則」と荻原さんは話している。

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