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社会保障の充実のために消費税が増税されたはずなのに、医療、介護、年金、生活保護、とあらゆる社会保障の削減が続いている。そんななか、来年4月にはいよいよ消費税が10%になる。それに伴い、「低所得者への負担が大きい」とのことで、酒類と外食を除く食料品などの生活必需品に対しては8%のままで据え置きしようというのが「軽減税率」だ。これだけ聞くと、ありがたい話に聞こえるが、果たして実際はどうなのか?

 

「政権の人気取りのための軽減税率という言葉にだまされているだけで、これでは振り込め詐欺と一緒です。軽減税率ではなく、変わらず8%のままということで、据え置きでしかない。これで楽になると思ってだまされて、実は効果も曖昧で、導入に必要な1兆円の財源も明確ではない。その財源を確保するために、福祉や社会保障費が削られていくでしょう」

 

慶應義塾大学教授の金子勝さんはこう懸念を示す。軽減税率の導入に必要と見込まれる1兆円の財源のうち、まだ確保の見通しが立っていないのが、6千億円分もある。

 

「そもそも『税と社会保障の一体改革』で、消費税の増税を社会保障の財源にしましょうということでしたが、社会保障の充実に使えるのは1割です。大半は法人税減税や公共事業などに消え、社会保障に回ってこないのです」(金子さん)

 

軽減税率実施によって、足りない分の財源はいったいどこから持ってくるのか。それについても現時点では明確になっていない。

 

民主党の岡田克也代表は衆院予算委員会で「1兆円の財源が、全く示されていない。増税するのか、あるいは社会保障を削るのか。そういうことが明らかでないままに、軽減税率の話だけが一方的に独り歩きしている。参議院選挙までに1兆円について、どういった財源手当てをするのか、社会保障費削減か増税か、そのことを明確にすべきだ」という質問をした。これに対し安倍晋三首相は「財源にさらなる消費税の増税で充てるということは考えていない。しっかりと財源を確保していく」と答えた。

 

結局、この財源確保のための矛先は私たちに向かい、今後、さらなる負担増につながっていく可能性が高い。じっさい、軽減税率の政策が打ち出されたあと「高額療養費制度」を見直し、患者負担を増やす案が政府内で浮上した。ほかに予想される負担増にはどんなものがあるかについて、生活マネー相談室代表で、ファイナンシャルプランナーの八ツ井慶子さんに教えてもらった。

 

「2025年には団塊世代が75歳以上となり、介護問題が懸念されます。認知症高齢者数は700万人に達すると推計されています。そもそもの公的保険料アップに加え、軽減税率の財源捻出分も上乗せされる可能性はあります」

 

それ以外にもまだ、社会保障や福祉の面での負担増が予想される。

 

「65歳以上の人口割合は上昇の一途をたどっています。消費税の増税分が財源に充てられないのなら、1人当たりの保険料の負担を増やさないと、現在と同じ医療環境の維持が不可能でしょう。また、生活保護については、2015年7月に、財政難からほとんどの地域で住宅扶助、つまり家賃補助が減額され、生活扶助の引き下げも続いています」

 

さらに、児童手当支給も廃止や所得制限額を引き下げるなどの措置も考えられる。社会保障の充実のために消費税が増税されたはずなのに、医療、介護、年金、生活保護など、あらゆる社会保障が削減されているのが現実だ。軽減税率は生活負担の軽減どころか、生きることに欠かせない医療や社会保障をやせ細らせることになる。そのような社会の中で、今後どう生活していけばいいのか。

 

「まず、医療費や介護費を抑えるため、病気にならないように健康管理をしっかりしましょう。これからは、自分の身は自分で守る時代になりそうです。買い物のときも本当に自分の人生に必要かどうかを買う前に考えてください」

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