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キャッチコピーは「目の前のアイテムが一瞬でキャッシュに変わる」。そんなスマホアプリ「CASH(キャッシュ)」が6月28日にサービスを開始した。……が、翌日、サービスを一時停止することに。7月14日現在は、ダウンロードもできない状態だ。わずか16時間で機能を止めたこのアプリとはいったい−−。

 

「スマホで撮影した個人の服やバッグなどを運営側が査定、即座に換金するサービスです。商品の査定額は下限1,000円〜上限2万円までですが、現物を送る前に、銀行振込みかコンビニで査定金額を受け取れる仕組みになっています」

 

そう語るのは、実際にCASHを利用したというファイナンシャルプランナーの山崎俊輔さん。わざわざ専門店に行く必要もなし、査定の待ち時間もなしという画期的なこのアプリ。だが、CASHには、「2カ月以内に『アイテム(現物)を送る』か、15%の手数料を乗せて『キャッシュ(現金)を返す』」というルールがある。ここに開発者の意図しないところで“落とし穴”が。

 

「考え方によっては、“商品代金の15%の利子でお金を貸しつけるアプリ”ともいえるんです。実際、1日足らずで7万2,000個以上の品が現金化されました。総額3億6,000万円に到達したことで、運営側は『想像をはるかに超えたサービス利用があった』と査定を緊急ストップしたのです」(山崎さん)

 

法律上は質商ではなく「中古品の買い取り」だというCASH。お金が振り込まれた段階で契約上は売買が成立し、返金する場合は、あくまでも“手数料を乗せて”品物を買い戻す仕組みではあるが……。

 

「大原則として『キャッシュを返す』という選択はしないほうがいいです。2万円ぶん換金したなら、返金手数料は3,000円。その上乗せは、高い利息のようなものです」(山崎さん)

 

「アイテムを送る」か「キャッシュを返す」かの選択が確定するまでは、次の取引ができないことにはなっているものの、現金化目的で利用しまくっていると、15%の“利息”がつきまとうことになる。

 

CASHを一時停止し、改善を図っているという運営事業者は、『Payday(ペイデイ)』というアプリのリリースも控えている。

 

「自分の給料日と平均月収を入力すると、1日に受け取り可能な金額が表示され、その金額をひと月に3回まで振り込んでもらうことができるんです。受け取ったお金は、次の給料日から1カ月以内に返済することで取引は完了しますが、その“利息率”はまだ明らかにされていません」(山崎さん)

 

経済評論家の加谷珪一さんは、お金にまつわるアプリについてこう忠告する。

 

「ひと昔前なら、お金に関するビジネスを始める前に、事業者は問題がないか金融庁にお伺いを立て、法律的な問題をクリアにしていましたし、利用者側にサービスの意図をしっかりと説明していました。しかし、スマホの普及で気軽にアプリとしてサービスを提供できるようになり、昔のように『完全に法律で保護されているから、何かあったら役所に駆け込めばいい』という時代ではなくなったんです」(加谷さん)

 

賢く使えば便利なお金アプリ。しかし、当面の現金欲しさに利用すると、“借金地獄”が待ち受けているかも……。

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