“年金は100年安泰”と叫び13年間、年金保険料を引き上げ続けた結果、この30年間で国民年金の支払いは2倍強に! 社会保険料は84%も負担が増えている。平成の約30年間で増えすぎた負担。今後の負担増について、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた――。
今月3日、朝日新聞が平成30年間の家計に関するデータを発表しました。働く世帯について、平成になる前年の’88年と、昨年’17年とを大和総研が比較したものです。
きわだって目立つのは、社会保険料の高騰です。30年前より2万5,946円(月額・以下同)も増えて、84%も負担が増えています。
また、平成元年である’89年には、消費税が導入されました。所得税などを含む税金全体も、30年前より7,859円の増加。社会保険料と税金を合わせると、3万3,805円もの負担増です。
残念ながら、重くなった負担に見合うほど、給料が上がったとはいえません。世帯主の収入は2万4,479円の増加です。会社員だと、天引きされる社会保険料の増加分、約2万6,000円が、給料の伸びより大きいので「給料が上がらない」と感じるのも当然でしょう。
そこで妻など配偶者が収入を2万1,128円増やして、世帯月収としては5万2,570円のアップに。世帯主だけに頼らず、みんなで家計を支えてきた経緯が見えてきます。
平成の約30年間で、物価は約10%上昇しました。それなのに消費は3,618円減り、貯蓄が2万2,625円増えています。世帯主の給料が長期間上がらないため、節約してせっせと貯蓄に励む姿が、データにも表れています。
■政府の定見のない経済政策
もっとも気になるのは、消費税の引き上げでしょう。予定では来年10月ですが、私は引き上げてはいけないと思います。なぜなら増税は、税金のムダを徹底的に排除してから行うものだからです。森友問題で8億円の値下げができるくらいなら、増税などしなくても済むでしょう。
しかも、引き上げれば消費税は10%になります。たとえば、1万9,800円の商品を買って、消費税8%をすぐ計算できる人は少なくても、10%ならほとんどの人がわかります。「消費税が1,980円だと、大体2万2,000円か。買うのはあきらめよう」という人が増えると思いませんか。消費はもっと鈍り、経済に与えるインパクトは大きいと思います。
安倍首相の力も弱っているので、消費税増税は見送ると私は予想しています。ただ、働き方改革もカジノ法案も議論が尽くされぬまま、強行採決の様相です。数の力で押し通すこともありますから、注意深く見ていきたいと思います。
家計は苦しくなるばかりですが、最近は、求人数や時給などが上向いています。主婦も高齢者もどんどん働き、「借金減らして現金増やせ」でいきましょう。