人生100年時代を自分らしく生きるための手段として「再キャリア(セカンドキャリア)」を選択する人が増えています。子育て中の経験を生かして、再キャリアで成功した人々も多数。ますはしっかりと子どもと向き合うことが、“新しい私”へとつながっていくようです。

 

「もっと体になじむ抱っこひもはないの? そんな思いから生まれたのがこのベビーキャリアです」

 

ビッグベビーを長時間抱いていても、肩が痛くならない、おしゃれ抱っこひもを開発したのはsun&beach代表の齋藤美衣さん(41)。1歳上の夫とは21歳のときに学生結婚。長男を出産した後は夫の実家で義父母と同居したため、最初の育児は多くの人に支えられていた。

 

そして大学卒業後はいくつかの職を経験しながら子育てと両立させていた齋藤さんだったが、2人目の出産を機に状況は変わっていく。そして職場復帰の難しさを感じながら子育てに奔走する日々のなかで、齋藤さんはある問題に直面する。

 

「次男を産んだときは実家から独立していて、子育ては完全にマンツーマン。『赤ちゃんってこんなに大変だったの?』と、初めて強いプレッシャーを感じました。しかも次男はビッグベビーなうえ抱っこしていないとご機嫌ななめに。そんな生活を送るうちに、とうとう腰痛になってしまったんです」

 

そこで齋藤さんは安定感のある抱っこひもを探し回った。肩だけで支えるのではなく、腰にベルトが付いていて、かつおしゃれなデザインのものはないか――。

 

「けれど理想的なものには出合えませんでした」

 

齋藤さんは諦めず、布を買い求めて裁断し、家庭用ミシンで製作を開始。イメージどおりの抱っこひもを完成させた。「これなら大丈夫」と、さっそく次男を抱っこして街を歩いてみたところ、1日に4人の女性から「どこで買ったの?」と話しかけられた。

 

「見知らぬ人に声をかけられるなんて新鮮な経験で、『ほかにも欲しい人がいるに違いない!』と確信しました」

 

そして齋藤さんは持ち前のバイタリティで縫製工場を探し、サンプル品を製造。

 

「パターンを自分で引けないので、工場の方に口頭でイメージをお伝えして。試作品ができたらママ友たちに使ってもらい、意見を聞いて改善しながら商品化するアイテムを決定しました」

 

大きな宣伝・広告を打ったことはないが、「軽くておしゃれな抱っこひも」はSNSや口コミで拡散されていった。こうして’07年の起業から11年、現在は伊勢丹新宿店など全国の主要百貨店に出店するまでに。さらに『ヘッドサポート』『よだれパッド』といった商品も開発。全員母親だというスタッフたちとともに、今日も「ママの育児を幸せにするために」多忙な日々を送っている。しかも、5年前には第3子を出産。

 

「赤ちゃんを抱っこしたいという気持ちが自然と強くなるんです」

 

齋藤さんはこれからも子育て経験をアイデアにつなげながら、1品1品丁寧に提供し続けていく。