美智子さまの最後の授業 雅子さまにあえて引き継ぎしない真意

天皇陛下とごいっしょに何十年もかけて“平成流皇室スタイル”を築きあげてきた美智子さま。その後継者である雅子さまは美智子さまのなさりようを、静かに学び続けてこられた。皇室ジャーナリストの近重幸哉さんは次のように語る。

 

「雅子さまも被災地でのお見舞いでは、美智子さまと同じように床に膝をつけて被災者と話されています。また被災地に限らず、ご公務やご静養先で、国民とふれあう際にも、相手の目をしっかり見て、うなずきながら会話をされているのですが、これも美智子さまのなさりようを、見習われたものと思われます」

 

雅子さまは長年療養されていたこともあり、これまでは美智子さまといっしょにご公務に臨まれる機会は多くはなかった。しかし’17年8月に臨席された『フローレンス・ナイチンゲール記章授与式』や’18年5月の『全国赤十字大会』では、日本赤十字社の名誉総裁である美智子さまのなさりようを真剣に見つめられる姿がとても印象的だったという。

 

「’19年以降は雅子さまが日本赤十字社の名誉総裁を引き継がれます。美智子さまの所作をすべて学ぼうという強いご意欲を感じました。特にお代替わりの時期が決まってからは、雅子さまにとって美智子さまと同席されるご公務は、すべてを吸収すべき“貴重な授業”ともいえるものだったのだと思います」

 

三大行幸啓をはじめとしたご公務、さらに宮中行事、宮中祭祀など、膨大なお仕事を天皇皇后両陛下から受け継がれる皇太子さまと雅子さま。美智子さまと雅子さまの間で、具体的な引き継ぎのための打ち合わせは、どのくらいの頻度でされているのだろうか?だが宮内庁関係者が明かす実情は意外なものだった。

 

「皇后陛下のおもな単独でのご公務には日本赤十字社名誉総裁としてのナイチンゲール記章授与式と全国赤十字大会のご臨席があります。’18年5月に開催された全国赤十字大会では、美智子さまが最後に退場される際に雅子さまに前に進むよう促し、右腕にふれて、会場の出席者たちに雅子さまを紹介するような仕草をされました。会場は拍手に包まれましたが、それが名誉総裁職の引き継ぎだったということになります。ほかの公務に関しても、御所で書類を渡したり、式次第を説明したりといったことはありません」

 

祭祀も美智子さまのライフワークでもあるご養蚕に関しても同様。’18年5月に皇太子ご一家はご養蚕を見学された。しかし今後は、美智子さまからあらためて手順や心得を雅子さまへ伝授されるということはないという。

 

実は香淳皇后から美智子さまへも、お代替わりの際にお話し合いがあったわけではないという。文化女子大学客員教授で皇室ジャーナリストの渡辺みどりさんは言う。

 

「美智子さまが皇后になられたときには、香淳皇后は体調を崩されて、ほとんどお出ましにならないような状態でした。美智子さまは、お手本となられる方もいないなかで、ご養蚕などの皇后のお仕事に励まれてきたわけです」

 

また元宮内庁職員で皇室ジャーナリストの山下晋司さんも次のように語る。

 

「例えば宮中祭祀であれば掌典職、儀式であれば式部職、ご養蚕であれば紅葉山御養蚕所のお手伝いの方々というように、担当する専門の人がいます。皇太子妃殿下も皇后になられた後は、そうした職員たちが、いままでどおりお支えしていくことになります」

 

こうした背景には、皇室の伝統だけではなく、美智子さまのあるお考えがあるという。前出の宮内庁関係者が続ける。

 

「美智子さまの’13年10月のお誕生日のご感想文には、こんなお言葉もあります。《明治天皇が「昔の手ぶり」を忘れないようにと、御製で仰せになっているように、昔ながらの所作に心を込めることが、祭祀には大切ではないかと思い、(中略)前の御代からお受けしたものを、精一杯次の時代まで運ぶ者でありたいと願っています》。つまり美智子さまは、昔から皇室に伝えられてきた作法を守る心こそが大切で、“私のやり方を踏襲してほしい”とは、まったく考えていらっしゃらないのです」

 

’09年4月のご結婚50周年の会見で、美智子さまは“次世代”への期待を述べられた。

 

《(皇室の)伝統の問題は引き継ぐとともに、次世代にゆだねていくものでしょう。私どもの時代の次、またその次の人たちが、それぞれの立場から皇室の伝統にとどまらず、伝統と社会との問題に対し、思いを深めていってくれるよう願っています》

 

もちろんこのお言葉は雅子さまへのメッセージでもある。

 

「美智子さまが雅子さまに本当にお伝えしたいのは、『私の真似をするのではなく、あなたなりのやり方で皇室の伝統を守っていきなさい』ということなのでしょう」(前出・宮内庁関係者)

 

あえて引き継ぎをしないことこそが、雅子さまへの“最後の授業”なのだった。

 

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