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’19年も止まることがない、現役世代への「負担増」の波。法改正の内容を把握せずしては、家計を守ることもできないはず。新年を迎えた今こそ、知識を身につけておこう。

 

「“いざなぎ超え”の好景気といわれていますが、生活に還元されているとはいえません。’19年からは、4月の社会保障制度改革と10月の消費税増税により、国民はより負担を強いられます。さらに、4月から施行される『働き方改革関連法』により、大企業に勤める会社員は、軒並み残業代がカット。年収は確実に減少するため、5月以降“生活が苦しい”と感じる世帯は増えるでしょう」

 

そう解説するのは、経済評論家の加谷珪一さん。’19年は、多くの法改正により、家計への負担が大きく変わってくる。

 

「さまざまな負担から家計を守るためには、法改正ごとに、その制度が自分の家族にとって負担を増やすものなのか、それとも賢く利用することで負担を減らすことができるのか、つねに意識することが重要です」

 

さっそく、加谷さん、ファイナンシャルプランナーの中村薫さんとともに、’19年上半期の“お金にまつわる法改正”を見ていこう。

 

【1月】

 

■国際観光旅客税

「今年4月に国会で可決・成立した新法『国際観光旅客税』(=出国税)が、’19年1月7日から施行されます。飛行機や船などで出国する際、1回1,000円がチケット代金に上乗せされることになります。卒業旅行や家族旅行を春先に考えている人には直結します。さらに、旅行代金には比較的高額の消費税がつきものですから、10月以降はさらに海外旅行費が家計を悩ませるかもしれません」(加谷さん)

 

【4月】

 

■産前産後の国民年金保険料免除

自営業者や無職の人など(国民年金第1号被保険者)が出産する際、予定日または出産月の「前月から4カ月間」は国民年金保険料が免除される制度が、4月1日から施行される。来年に出産を控える世帯にとっては、“負担減”といえそうだ。

 

「対象となるのは、’19年2月1日以降に出産した人。たとえば2月に出産した場合、1月から4月分まで、保険料を納めなくても、納付したとみなされることになり、6万5,000円ほどお得に。期間は最長で4カ月ですが、双子などの多胎児の場合、最長6カ月間免除されます。申請のためには必要書類を提出しなければなりませんが、4月には年金機構のサイトからダウンロードできるようになるはずですし、年金事務所などで直接求めてもよいでしょう」(中村さん)

 

■後期高齢者医療制度、元被扶養者の均等割の軽減措置終了

夫が後期高齢者医療制度(=75歳以上)に加入する前日まで、夫の会社の健康保険などの被扶養者だった人(妻)は、現状では保険料の均等割額が5割軽減されていた。しかし、’19年4月1日以降は、同制度に加入して2年でその軽減措置が終了することに。

 

「もともと’17年度までは『7割』軽減されていたものが、現状では『5割』となり、さらに『2年間で終了』と、負担は確実に増えています。会社の健康保険などの被扶養者だった人は、均等割額が軽減されているはず。自分の負担が増えるかどうかは、都道府県の後期高齢者医療広域連合に相談してみましょう。知らないうちに保険料が増額しているなんてことがないように」(中村さん)

 

■働き方改革関連法

「4月以降は、従業員が時間外労働の限度基準(月45時間、年間360時間)を超えると、雇用主に罰則が適用されることになります。残業代カットによる年収減は深刻で、たとえば年収400万~500万円の人が、およそ10%程度、つまり40万~50万円減ることもあるんです」(加谷さん)

 

また、転職や就職を考えている場合、主婦や学生に「落とし穴が仕掛けられているかもしれない」と指摘するのは、中村さんだ。

 

「『実際の労働時間の長短にかかわらず、契約した労働時間を働いたことにする』=『裁量労働制』を採用している企業があります。そういった企業には、今回の新法は適用されませんから、『弊社は裁量労働制を導入しています』と会社に言われたら、要注意です」

 

裁量労働制には「残業時間の賃金」や「休日出勤の手当」など細かい基準があるのだが--。

 

「いわゆる“ブラック企業”のなかには、『ウチは裁量労働制だから、いくら働いても残業代は出ないよ』などと言いだすところがあるかもしれないので、再就職の際には、企業の内情をできるだけ把握したいところです」(中村さん)

 

上半期に起こる4つの法改正のうち、3つは「負担増」。加谷さんは「GWに浮かれた出費をしていると、夏以降厳しい生活が待っている」と指摘する。

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