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8月28日、自民党・上野宏史議員(48)が口利き疑惑報道を受けて厚生労働政務官を辞任した。しかしその辞任理由に、ネットで非難の声が上がっている。

 

上野議員は週刊文春8月29日号で、人材派遣会社「ネオキャリア」が全国の飲食店やドラッグストアなどへ派遣する外国人の在留資格を取るため法務省に口利きすることで、その見返りとして同社に金銭を求めていたと報じられた。さらに同誌9月5日号は口利きの際に上野氏がコーヒーの入ったカップを床に投げつけるなどして、秘書に圧力をかけていた疑いがあるとも伝えている。

 

この件を受けて28日、上野議員は政務官を辞任した。「法令(あっせん利得処罰法)に反する口利きをした事実はない。報道は大変遺憾だ」とコメントしながらも、辞任理由について「政務官の立場にあることで誤解を招きかねない」と説明している。

 

しかしTwitterでは口利きを否定しながらも「誤解を招きかねない」という理由で辞任する上野議員に、非難の声が上がっている。

 

《もし事実でないなら政務官を辞める必要など何もない。こんな単純な話はない。こんな程度では国民は欺けない》

 

《どういう誤解なんだよ?誰が何を誤解するんだ?辞めるんなら、せめてその誤解とやらを説明してから辞めろよ》

 

今年4月、外国人労働者の受け入れを拡大するよう改正された入管法が施行された。政府は新たな在留資格として「特定技能」を設け、外国人の単純労働に積極的な姿勢を見せた。介護や建設など14業種について、5年間で最大34万人ほどを迎える見込みだという。

 

しかし入管法の改正にあたっては「集計結果のミス」があった。昨年11月、法務省は関連データである失踪外国人技能実習生への聞き取り調査の結果に誤りがあったと発表した。

 

当初、失踪理由について「より高い賃金を求めて」が約87%で最多だと説明されていた。しかし実際の調査では「低賃金」が約67%であり「指導が厳しい」が5.4%でなく12.6%、さらに「暴力を受けた」が3.0%でなく4.9%だった。そのため立憲民主党・山尾志桜里議員(45)は「法案の根幹部分がひっくり返った」と厳しく批判していた。

 

野党が聴取票の公開を求めたところ、プライバシーの観点から政府と与党は閲覧だけ認めコピーを禁止。そのため野党議員が聴取票を手作業で2870人分を書き写すという事態になった。しかし入管法の改正案は同年12月、参議院本会議で強行採決された。

 

今年6月、愛媛県・今治にある縫製工場で働くベトナム人女性労働者の実態を取り上げた「ノーナレ」(NHK総合)が大きな反響を呼んだ。彼女たちは早朝から夜11時まで働くが、休憩はたったの15分。さらに洗濯の時間もないため、雨の季節には生乾きの服を着て作業。来日前は婦人服や子ども服の製造と聞かされていたが、実際の仕事はタオルの製造だったという。

 

また今月26日、BBCのサイト上にVTR「日本で『搾取』される移民労働者たち」がアップされた。ある外国人労働者は「最初の6ヵ月間、休みは1日もありませんでした」と話し、530万円近い残業代の未払いがあるとも告白。さらにある中国人労働者は上司に挨拶をしても無視されたことや勤務先の工場の機械に手を挟んだが、企業側が「破産した」と述べて賠償がうやむやになっていると明かしている。こうして、日本で働く外国人労働者の悲鳴が広く知られることとなった。

 

入管法に深く関係している厚生労働省の政務官でありながらも、在留資格の口利き疑惑で辞任した上野議員。その「誤解」をいつ解くのだろうか。

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