目的は財産把握と課税「マイナンバー普及活動」に見える政府思惑

政府は、’23年度からマイナンバーカードを介護保険の保険証(以下、介護保険証)としても利用できるようにする。介護保険証は、おもに65歳以上の人が持つケアプランの作成などに必要なものだ。そんなマイナンバーカードについて、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。

 

マイナンバーカードは顔写真や住所、氏名と12ケタの個人番号(マイナンバー)などが記載されたカードです。’16年から交付が始まったが、普及率は今も15%を超えません(’19年11月・総務省)。

 

そのため、普及率を上げる施策が次々打ち出されています。

 

’21年3月から健康保険証として、’23年度からは介護保険証としても利用できるようにするなど、多機能化に加え、キャッシュレス決済と連動したポイント還元も行います。マイナンバーカードを持つ人が事前に申し込んでおけば、’20年9月~’21年3月のキャッシュレス決済利用額に25%のポイントが付く大盤振舞いです。

 

これほどまで政府がマイナンバーカードの普及に躍起になるのは、「住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)」の二の舞にしたくないからでしょう。’02年に始まった住基ネットは“国民総背番号制”と揶揄され、情報漏洩問題もあり、普及率は約5%と低迷したまま、終焉を迎えたのです。

 

だからといって、現状の健康保険証や介護保険証に不都合はないし、これからも使い続けられるのに、マイナンバーカードで代用できることがメリットでしょうか。

 

また、スマホに情報が集約され、顔認証など手ぶらで本人確認ができる時代に、カードが必要なこと自体が古いという意見もあります。

 

さらに、’15年の年金情報流出など、情報管理の失敗を重ねる国への不信感は大きいし、個人のカード管理にも不安があります。マイナンバーカードを持ち歩くことを躊躇する方は多いと思います。

 

目玉のポイント還元も、還元率は25%ですが、額は1人5,000円まで。そのために面倒な手続きをして、ムダとしか思えないマイナンバーカードを取得するでしょうか。

 

政府の施策は行き当たりばったりにしか見えませんが、多額の税金を使います。健康保険証の代用には、病院に読取り端末が必要です。現状だと要らないムダな端末の設置に、政府は1,068億円を補助します。ポイント還元にも2,500億円の血税が使われるのです。

 

マイナンバーカードは金融機関、財産課税に持ち込みたい思惑があるといわれます。さらに、社会保障や家計から生活全般まで、国に管理される日がくるかもしれません。

 

「女性自身」2020年2月4日号 掲載

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