また、アンケートでは過酷な労働環境も浮き彫りになっている。雇用形態について「時間外手当はない」との回答がなんと24.4%。そもそも「契約書がない」という回答も19.8%となっている。植山さんによれば、こうした事例は労働基準法違反にあたる可能性が高いという。

 

また、高い感染リスクにもかかわらず危険手当が「ある」との回答はわずか18.6%だ。アンケートからは、過酷な労働を強いられている医師の姿が浮かび上がってくる。

 

たとえば《責任感皆無の院長と無能な感染管理委員長から防護具使いまわしで発熱外来を担当するよう一方的に命令されました》という回答者。《COVID-19診療に関わること自体は協力したいですが、 職員の安全を無視する当院で無駄死にをしたくないので転職を考えています》と、痛切な思いをつづっている。

 

「医師には命を救う責務があります。国や国民、目の前の患者のため、必死に働いています。それなのに、なんでこんな状況で働かされるのかという思いを抱えている医師は、少なくありません。そもそもコロナ禍の前から、日本は医師不足でした。勤務医の4割が過労死ライン(月平均80時間の時間外労働)を超えて働いていて、以前からまったく余裕がなかったのです。そこに新型コロナへの対応を迫られ、現場の医師にとってはたいへんな負担になっています」

 

実は、アンケートに回答した現場の医師の約1割が研修医だった。その中には十分な給与が支払われない、いわゆる「無給医」も少なくない。

 

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