全国医師ユニオン代表の植山直人さん(写真:時事通信) 画像を見る

「自分自身が新型コロナウイルスに感染してしまう、自分の病院でも院内感染が起きかねない……。9割以上の医師が、そういった感染リスクに対する不安を抱えていることが、アンケートからわかりました」

 

そう語るのは、全国医師ユニオン代表の植山直人さん。

 

全国医師ユニオンは日本で唯一の、勤務医の全国的な労働組合だ。医療崩壊の危機が叫ばれるなか、全国医師ユニオンは4月24日から5月6日の13日間、WEB上で緊急アンケートを実施。新型コロナ感染者の治療や検査を行う医師172人から回答を得た(アンケート結果は全国医師ユニオンのホームページでも公開されている)。

 

その回答を見ると、私たちが想像する以上に医療現場が疲弊していることがわかる。「『COVID-19の診療』をやめたいと思いますか」との質問に、5割を超える医師が「新型コロナの診療をやめたいと思うことがある」と回答しているのだ(「いつもある」が15.7%、「ときどきある」が39.5%)。

 

アンケートの自由記載欄には《物資や設備も不十分なまま、業務命令として“疑い患者”の対応をさせられており、戦時中の特攻隊のような気分がします》という悲痛な声も。

 

「感染リスクへの不安が、そういった回答の多さにつながっていると思います。3割以上の医師が、マスクを使い回ししていると回答しています。医療用のN95マスクは、本来は使い捨てです。何度も繰り返し使えば、形が歪んでウイルスの侵入を防げなくなる。『お守りぐらいの気持ちで使っている』という声もあります」(植山さん)

 

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