荻原博子語る“マイナポイント5千円分付与”の落とし穴

7月から、マイナポイントの予約が始まった。マイナポイントとは、マイナンバーカードを持つ人がキャッシュレス決済をしたとき、買い物額の25%のポイントを国が還元する制度。1人5,000円が上限だ。9月開始に先立って、今は、利用するキャッシュレス決済を選ぶ予約が行われている。そんな、マイナポイントについて経済ジャーナリストの荻原博子が解説してくれたーー。

 

■“マイナポイント5,000円分付与”には慎重に!

 

「1人5,000円もらえる」マイナポイントは、確かにお得といえるでしょう。でも、新型コロナウイルス第2波の不安が広がるなか、「なぜ、今なのか」大いに疑問です。

 

というのも、マイナンバーカードの取得はかなり面倒です。今は落ち着いて向き合えない方も多いと思います。しかも、取得後も面倒が続くことをご存じですか。

 

マイナンバーカードには有効期限があります。20歳以上は申請後10回目の誕生日までの約10年間、20歳未満は約5年間です。さらに、カードに内蔵される電子証明書の有効期限はまた別。こちらは年齢問わず約5年間です。

 

つまり、カードの更新が必要。いざというときに「未更新だから使えない」という事態も起きそうです。また、暗証番号を忘れたら、その場合もとっさに使えません。

 

こうした面倒をよく説明もせず、国は「5,000円あげる」という“バラマキ政策”が今は効果的と判断したのでしょうか。そうまでして、マイナンバーカードを普及させたい理由があるのでしょうか。

 

マイナンバーカードには「なぜ、今」の疑問がほかにもあります。先日の1人10万円の特別定額給付金も、WEB申請になぜマイナンバーカードを連動させたのでしょう。違う方法もあったはず。

 

また、’21年3月からマイナンバーカードは、健康保険証として利用できるようになります。そのため、病院にはカードを読み取るカードリーダーが必要です。これを国が無償提供するようですが、そのための予算は1,000億円超。

 

コロナ禍で病院も困窮し、岡山県では整形外科がコロナ破産したというのに、なぜ、今マイナンバーカードなのか。病院が欲しい支援は、もっとほかにあるでしょう。

 

そもそもマイナンバーは、年金や健康保険などの給付と納税を1人1つの個人番号で管理することが目標でした。将来的には、金融機関ともひもづける予定でした。

 

ところが「真の目的は国民の財産を把握し課税すること」という見方があり大論争になったあげく、「消えた年金」問題などで頓挫。1兆円もの血税をムダにしたといわれる「住基ネット」の二の舞にしたくないのは理解できますが、昨今の施策を、コロナ禍の便乗と見るのはうがった見方でしょうか。

 

マイナンバーカードが普及しない最大の原因は、セキュリティ面の不安だと思います。大切な個人情報が漏れないか心配なのです。

 

ですから、マイナポイントのようなエサで釣る作戦ではなく、国は、国民の信頼を取り戻すことを第一に考えてほしい。私は「この政府になら個人情報を預けても安心」と思えるまで、マイナンバーカードは作らないつもりです。

 

「女性自身」2020年8月18日・25日合併号 掲載

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