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「じつは第1波のころと比べると、死亡率は5分の1程度に低下しています。個々の症例によって一概には言えませんが、数字だけを見れば5人のうち4人、今なら助けられた命があるかもしれないということです」

 

こう語るのは、日本感染症学会専門医で、東京歯科大学市川総合病院の寺嶋毅教授だ。

 

現在、“第3波”の襲来ともいうべき、新型コロナウイルスの全国的な感染が急速に広がっている。10月末以降、東京をはじめ、大阪、北海道、兵庫などの新規感染者数は過去最高を記録するなど、その勢いは日を追うごとに増す。

 

だが、感染者が急増する一方で、死亡率は低下しているのも事実だ。これはいったいどういうことなのか、寺嶋教授が解説する。

 

「現在は検査体制が拡充されたことにより、早期発見、早期治療が可能になりました。第1波のころは、発熱し、せきなどの症状が出ている患者さんでも、自宅待機を命じられ、なかなか診断までたどり着けないケースがありました。そのため、病院に来たときにはすでに重症化している、ということも。今はそういった事態は少なくなりました」

 

とはいえ、第2波以降も、70歳以上で入院した患者の死亡率は20%もあり、高齢者の感染が危険であることには変わりない。寺嶋教授はこれを懸念している。

 

「第2波のころまでは比較的、持病のない若い世代の患者さんが多かったのですが、最近は年齢層が高く、糖尿病や高血圧の持病のある、いわゆる重症化リスクの高い患者さんが増えてきています」

 

現在、新型コロナウイルスによる国内死亡者数は、2,000人を超えている。

 

「よくインフルエンザの年間死亡者数(約1万人)と比較されますが、これだけ多くの人たちが感染対策をしているからこそ、2,000人に抑えられていると考えるべきです。対策をしなければ、欧米のような状態になっていたかもしれない。ワクチン、特効薬がない今の段階では、インフルエンザよりも怖い病気なのだと心得ておくほうがいいでしょう」

 

寺嶋教授によると、気温が下がるとウイルスの生存期間が長くなり、空気が乾燥するとウイルスが広範囲に届くようになるという。

 

一方で人間の体も、寒くて乾燥していると、鼻やのどの抵抗力が落ちるので注意が必要だ。猛威をふるいそうな第3波を乗り切るためにも、あなた自身が緊張感を持って、予防対策を講じることが必須である。

 

「女性自身」2020年12月15日号 掲載

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